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ご挨拶
がん化学療法センターに興味を持っていただいたことを大変嬉しく思います。
所長の吉田光昭です。
ヒトとがんの付き合いは長く、古代ギリシャの時代に乳がんの記述があり、カニの甲羅を模した言葉が使われていることが、「Cancer=がん」の語源となったと言われています。長い付き合いにしては、残念なことにがんの罹患率は時代とともに高くなり、最近では日本人の3人にひとりが発症し、死亡率では第1位の疾患となっています。がんの研究が進んだと言われるのに、どうしてでしょうか。
がんの研究は世界的に盛んに進められた結果、がんの仕組みが次第に分りつつあります。1976年にがん遺伝子が発見されて以来、がん抑制遺伝子などヒトのがんに直接的に関る数多くの遺伝子が明らかになり、その数は数百種類とも言われ、がんは遺伝子の病気であることが分かってきました。このうちの、5種〜7種類の遺伝子に変異が起きると、全体の調和を乱す異端の細胞となり無限に増殖するようになります。最近では遺伝子でないゲノムの一部もがんの成立に関っていることが分かり始めています。こうなると、がんの成り立ちの組み合わせは膨大なものになります。さらに全体の中での調和を守ることが出来なくなった異端の細胞が、勝手に制限無く増え続けるのです。さらに困ったことに、異端児となった細胞は変わり身が早く次々と顔を変え、ついには勝手に体中に散らばって増えたりするのです。そうなってもがん細胞は、元の自分の細胞と殆どそっくりなので、元の細胞と区別することが難しいのです。がん細胞を攻撃する薬剤が強い副作用を持つ理由です。
がん研究の進展から、どのような遺伝子に、どのような傷がつき、どのように細胞が異常になるかが分り始めてきました。この異常になった遺伝子の働きだけをピンポイントで攻撃できる薬剤を「分子標的薬」と呼びますが、開発の初期段階から目的の遺伝子を狙って開発されることが、従来の抗がん剤の開発と異なるところです。既に、いくつもの分子標的薬が開発され、副作用が軽減され、従来を超える効果をもたらしています。がん研究のもたらした成果といえるでしょう。しかしながら、多くのがんに対して対策は効果的で無く、まだまだ不十分です。がんの種類が多種、多様にわたっている上に、効果のある薬剤に耐性になることが、大きな問題なのです。
この問題の解決に重要なのは、どのような遺伝子を標的とするかです。このような考えから、私たちがん化学療法センターはがん細胞のアキレス腱とも思われる弱点を見出す基礎研究を進め、そこで見出された異常遺伝子の解析に基づいて、分子標的薬の開発を進めています。実際的には、明らかにされている遺伝子を阻害する薬剤の効果的な開発法を検討する一方、がん細胞の転移を標的にした研究や細胞の寿命を標的にした研究を進めています。このような分子標的薬の研究・開発では、単に理論的な基礎研究だけでは不十分で、実際にがん患者を治療している臨床サイドからの情報と密接に連携して、進めることが必要不可欠です。当センターは、がん研有明病院と同じ建物内にあり臨床部(化学療法科)を持って基礎研究と開発を進めることが出来る環境に恵まれています。この環境を生かして日本発のがん分子標的薬の創製に向けて、総力を挙げて頑張っております。具体的な内容は、是非各研究部のページをご覧下さい。
がんの基礎研究に、がんの臨床研究に、抗がん剤の開発に、興味をお持ちの方のご理解をお願いし、ご連絡をお待ちしております。








