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研究内容

最終更新日 : 2017年10月5日

目次

  1. がん分子標的薬耐性機構の解明と耐性克服薬の探索
  2. がん転移分子機構の解明とそれに基づく創薬
  3. がん幹細胞(Cancer stem cell)の機能解析と分子標的の同定
  4. 生存増殖シグナル伝達系の解析と分子標的の探索

がん転移分子機構の解明とそれに基づく創薬

がんの血行性転移には、がん細胞依存的な血小板凝集が関与している。このような因子の存在は古くより臨床上で認められていたが、その分子の同定は行なわれていなかった。マウス結腸がんColon26細胞より樹立された高転移株NL-17が高い血小板凝集活性を示すのに対し、同時に樹立された低転移株NL-14には血小板凝集活性がほとんど認められないことから、NL-17細胞膜表面上には血小板凝集を誘導する未知の因子("Aggrus"と命名)が発現しており、Aggrusの発現が転移能を規定している可能性が考えられ、がん研で長年検討されてきた。さらに、NL-17による血小板凝集を中和するモノクローナル抗体8F11が樹立され、8F11抗体により認識される44 kDaのAggrus分子の同定が模索されてきたが、多数の糖鎖がAggrusに付加されていることもあり、その同定は困難を極めた。ようやく2003年に、44 kDaのAggrus分子をコードする責任遺伝子のクローニングに成功し、その後の解析で、リンパ管マーカー分子として同定され機能未知のpodoplanin遺伝子と同一であることを見いだした(JBC, 2003)。そこで、aggrus遺伝子をCHO細胞に遺伝子導入することによりAggrus恒常的発現株(CHO/hAGR)を樹立した。CHO/hAGRに血小板凝集誘導活性が認められたこと、さらにヌードマウスを用いた実験的転移モデル系において高頻度に肺に転移したことから(Am. J. Pathol., 2007)、Aggrusが長年追い求めてきたがん転移関連血小板凝集促進因子である事が確認できている。ヒトがんにおけるaggrus遺伝子発現を検討した結果、精巣腫瘍のうちセミノーマ特異的にAggrus分子が発現していること(Oncogene, 2004)、肺がんのなかでも肺扁平上皮がんにAggrus分子が高発現していること(Tumour Biol., 2005)を見いだしている。

また、Aggrus分子上の血小板凝集に関わる部位の同定を行なう過程で、Aggrusに付加している糖鎖が血小板凝集誘導活性に必須な役割を果たしている事も見いだしている(JBC, 2004)。Aggrusに結合する分子を探索した結果、Tetraspaninファミリーの分子であるCD9がAggrusに結合し、Aggrusの血小板凝集誘導活性を減弱させることを見いだしている(Blood, 2008)。
このAggrus分子を標的にしたがん転移予防薬の開発は、平成21年度の医薬基盤研のプロジェクトに採用され、その後に次世代がんの プロジェクトに採択されており、、研究室を挙げて阻害剤開発を進めている。

Recent publications:

  • Platelets promote osteosarcoma cell growth through activation of the PDGFR-Akt signaling axis. Takagi S, Takemoto A, Takami M, Oh-hara T, Fujita N. Cancer Sci., 2014 Aug; 105(8): 983-8.
  • Expression of Aggrus/podoplanin in bladder cancer and its role in pulmonary metastasis. Takagi S, Oh-hara T, Sato S, Gong B, Takami M, Fujita N. Int. J. Cancer, 2014 Jun 1; 134 (11): 2605-14.
  • Platelets promote tumor growth and metastasis via direct interaction between Aggrus/podoplanin and CLEC-2. Takagi S, Sato S, Oh-hara T, Takami M, Koike S, Mishima Y, Hatake K, Fujita N. PLoS ONE, 2013 Aug 21; 8(8): e73609.
  • The impact of Aggrus/podoplanin on platelet aggregation and tumor metastasis. Fujita N, Takagi S. J. Biochem. (Review), 2012 Nov; 152(5): 407-13.
  • Prevention of hematogenous metastasis by neutralizing mouse and its chimeric anti-Aggrus/podoplanin antibodies. Nakazawa Y, Takagi S, Sato S, Oh-hara T, Koike S, Takami M, Arai H, Fujita N.
    Cancer Sci. 2011 Nov;102(11):2051-7

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