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研究内容

研究内容目次

  1. がん微小環境選択的な分子標的治療法の研究
  2. 遺伝子発現解析を基盤とした分子標的治療のゲノミクス研究

遺伝子発現解析を基盤とした分子標的治療のゲノミクス研究

標的とする分子を明確にし、その機能を特異的に制御する薬剤 (分子標的薬剤) の探索・開発研究が、抗がん剤開発において中心的な役割を担うようになってきました。分子標的薬の臨床導入が進むにつれ、その有効性が明らかになり、また比較的軽微な副作用などから、分子標的薬への期待はますます大きなものとなっています。一方で、分子標的薬は効くか効かないかがはっきりしているという特徴があるため、有効な薬剤を投与するために薬剤反応性を事前に予測するシステムの開発が切望されてきています。

こうした中、近年のゲノム研究の進展に伴って確立されたマイクロアレイによる遺伝子発現解析が、薬剤反応性予測に非常に有用な手法であることが明らかになってきました。本研究では、分子標的薬の臨床試験と並行して採取される腫瘍検体を用い、マイクロアレイによる腫瘍での遺伝子発現解析を行っています。そして、遺伝子発現情報を利用して、分子標的薬の有効性の診断を可能にするマーカー(バイオマーカーといいます)を同定し、バイオマーカーを用いた診断システムを構築することを目指しています。

新規の薬剤開発においては、標的の同定や化合物の探索などの基礎研究にはじまり、候補化合物の物性や毒性の評価などの前臨床試験を経て、ヒトでの有効性を評価する臨床試験(I, II, III相、製販後試験)が行われます(下図)。薬剤の有効性を診断するバイオマーカーの同定は、比較的早期の臨床試験(I, II相)で行い、その後、バイオマーカーとしての有用性を後期の臨床試験(III相、製販後)で評価するというのが理想的であるとされています。しかしながら、このような理想的な開発はまだまだ困難な状況にあり、私たちはその打開に向け、上記の診断システム構築研究に加え、新たな技術開発にも取り組んでいます。例えば、遺伝子発現情報の新しい解析技術や遺伝子発現の簡便な測定技術などの開発に取り組んでいます。さらに、臨床検体の網羅的な遺伝子発現情報を用い、効果のないがんを攻撃するための新しい分子標的を探索する研究にも取り組んでいます。これらの研究を通じ、分子標的薬開発サイクルを強力に推進できるようになることを期待しております。なお本研究は、当会のゲノムセンターならびに多くの臨床研究機関と協力し進めています。

発現解析による分子標的薬開発の革新
臨床試験と並行し網羅的遺伝子発現解析行い、薬剤感受性予測バイオマーカーを同定し診断法の実用化を進める(診断薬開発研究)。また発現データを活用した新たな分子標的の同定を進める(治療薬開発研究)。これらの研究を通じ、分子標的薬剤の開発サイクルの推進を目指す。

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