部門紹介

研究内容

最終更新日 : 2020年4月30日

研究紹介・特色

当研究部の達成目標は、がん細胞に固有のアキレス腱を分子レベルで理解すること、そしてそれらを分子標的としたがん治療法を開発することです。染色体末端を保護するテロメアは、DNA複製のたびに徐々に失われることで、細胞分裂の回数券のような役割を果たします。ところががん細胞は、テロメラーゼという酵素を活性化することで、テロメアを再生し、不老不死の性質を示します。私たちは、テロメラーゼの制御機構を調べる過程で、がん創薬の糸口となる標的分子に辿り着きました。まず、タンキラーゼという酵素は、ポリADP-リボシル化と呼ばれる反応を司り、テロメラーゼの働きを高めるばかりでなく、がん増殖を促すWntシグナルという細胞内情報伝達を増強します。一方、テロメア配列はグアニン4重鎖(G4)という特殊な核酸構造を形成します。私たちは、タンキラーゼ阻害剤やG4安定化化合物(G4リガンド)の制がん効果に着目し、これらをシーズとする創薬研究を行っています。さらに、がんの治療抵抗性や再発に関与するがん幹細胞の本態を明らかにし、その根絶療法の開発を目指しています。「がんを、クスリで、治したい」---私たちメンバーの合言葉です。

分子生物治療研究部長  清宮 啓之

研究内容目次

  1. テロメアとがん細胞の不老不死性
  2. グアニン4重鎖を標的としたがん創薬
  3. ポリADP-リボシル化酵素タンキラーゼの機能と阻害剤
  4. がん幹細胞の治療抵抗性と攻略因子

このページのTOPへ