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【がん研セミナー(6月26日)のお知らせ「先端医療開発における統計的アプローチ:臨床研究からエピゲノムまで」野島 正寛 先生(東京大学医科学研究所)】

2017年05月11日

がん研セミナー(6月26日)のお知らせ

 

演題:先端医療開発における統計的アプローチ:臨床研究からエピゲノムまで

 

演者:野島 正寛 先生(東京大学医科学研究所 TR・治験センター/先端医療開発推進分野)

 

抄録:

基礎医学研究の多くは、バラつきが少なく要因と効果の因果関係が比較的明確な実験系で行われるため統計学的検討の重要性が意識される場面は少ないが、トランスレーショナル・リサーチの領域では臨床情報の取り扱いが必要となり、αエラーの制御など厳密な統計手法の適用が求められる。

統計解析に期待される役割としては、1. 非ランダム化デザインにおいては避けることのできない選択バイアスや各種交絡要因を適切に認識・提示し、層別解析などそれらを考慮した解析を行うこと、2. 新規分子マーカーを用いた予後予測など、応用に関する場面で、機械学習などの統計手法により有用なアルゴリズムを作成すること、3. 臨床応用に向けた最終的な効果の検証の場面において、コホートの設定やサンプルサイズ計算といった綿密な研究計画を立案することなどが挙げられる。近年は、ヒトゲノム情報に関する網羅的な解析手法が著しく発展しており、マイクロアレイや次世代シーケンサーといった、膨大なアウトプットを伴う方法が次々に登場している。

ところが、外注などによりアッセイを依頼しアウトプットを得ることは可能であっても、データマイニングや統計解析の段階で人的資源の不足に直面し、研究全体におけるボトルネックとなる場合がある。こうした状況は、不十分な統計知識に基づく複雑なモデルの利用や、統計学的多重性への対処への誤りを招く。こうした点を踏まえ、再現性を担保した上でデータの可能性を引き出す解析手法の具体例を紹介する。演者はこれまで、エピジェネティクスを中心とした基礎医学研究に携わる一方で、他の分野も含めたトランスレーショナル・リサーチおよび臨床研究全般の統計コンサルテーションを担当してきた。今回のセミナーでは、実例を交えながら具体的な方法およびその注意点について概要を解説していきたい。

 

日時:2017年 6月 26日(月) 18:00〜19:00

 

場所:吉田講堂

 

連絡先:前佛 均 (内線5338)

 

*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。

 

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