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【第45回がん研先端研究セミナー (12月19日) のお知らせ 「Candida albicansの病原因子の探索と機能解明」市川 雄一 博士 [ University of Massachusetts Medical School Department of Molecular, Cell and Cancer Biology(Paul Kaufman 研究室)]】

2017年11月29日

第45回がん研先端研究セミナー (12月19日) のお知らせ

 

演題:Candida albicansの病原因子の探索と機能解明

 

演者:市川 雄一 博士  University of Massachusetts Medical School Department of Molecular, Cell and Cancer Biology(Paul Kaufman 研究室)

 

抄録: Candida albicans(カンジダ)はヒトの体表や消化管、粘膜等に常在する病原性酵母の一種である。多くの場合は無害であるが、AIDSや血液悪性腫瘍、免疫抑制剤の投与などによって免疫力の低下した患者に深刻な感染症を引き起こす。カンジダ症の中でも、カンジダが血流に乗り脳や臓器に感染する侵襲性カンジダ症は致死率が高く、優れた抗真菌薬の開発が強く望まれている。これまでカンジダの研究は、主に試験管内での培養系を用いて行われてきた。しかし、感染モデルマウスから採取したmRNAの定量解析から、試験管内で培養したカンジダと体内に取り込まれたカンジダの遺伝子発現プロファイルが大きく異なることが示された。このことは、抗真菌薬候補のスクリーニングに従来の培養方法が適切ではないことを意味している。そこで私は、新規病原因子の発見を目指し、感染時の環境を試験管内で再現する培養条件の検討を行い、遺伝子発現プロファイルがより感染時に近い培養条件での薬剤感受性試験を行った。その結果、従来の方法では得られなかった、抗真菌薬への高感受性を示す複数の遺伝子変異を同定した。さらにCRISPR-Cas9の改変法を確立し、同定した遺伝子の一つである転写因子CUP9について遺伝子破壊が抗真菌薬への高感受性を示す機序を明らかにした。本研究によって得られた知見は、新たな抗真菌薬の開発につながる。また、カンジダの病原性の分子機構を理解する上で重要な、クロマチン構造を介した遺伝子発現制御機構に関する研究も行い、ヒストンH3のメチル化修飾のクロストークによる新たなエピジェネティクス制御を明らかにした。本セミナーでは、これら研究の最新の知見を発表する

 

参考文献:

 

Ichikawa Y et al. A synthetic biology approach to probing nucleosome symmetry. eLife, 6: e28836, 2017.

Min K, Ichikawa Y et al. Candida albicans Gene Deletion with a Transient CRISPR-Cas9 System. mSphere, 1: e00130-16, 2016.

 

日時:2017年12月19日(火) 15:00〜16:00

 

場所:研究所1階 セミナー室A

 

連絡先:斉藤典子(5474)

 

*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。

 

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