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【がん研セミナー(7月31日)のお知らせ 「 演題:RNAとRNA結合タンパク質により作り出される核微小環境の機能とその役割 」野澤 竜介 博士(Institute of Genetics and Molecular Medicine, The University of Edinburgh:Nick Gilbert Lab.)】

2018年07月13日

がん研セミナー(7月31日)のお知らせ

 

演題:RNAとRNA結合タンパク質により作り出される核微小環境の機能とその役割

 

演者:野澤 竜介  博士(Institute of Genetics and Molecular Medicine, The University of Edinburgh:Nick Gilbert Lab.)

 

抄録:抄録:

真核生物において、DNAはクロマチンとして密に折りたたまれて核に格納されている。クロマチンによる、遺伝子発現の調節、DNA複製と分配、そしてDNA損傷修復といった営みは、細胞の基本機能である。しかし、それぞれの過程において、クロマチン構造を維持、制御する分子メカニズムの全容は、未だ明らかとなっていない。これまでに、われわれは、SAF-A/hnRNP Uというタンパク質が、ヒトの間期のクロマチン構造を転写依存的に制御することを見出した。そのメカニズムとは、SAF-A自身のATPase活性と、クロマチン結合性RNAとの結合により、SAF-Aがオリゴマーを形成し、そのSAF-Aオリゴマーが、転写活性領域のクロマチン構造を脱凝縮させるというものである。また、細胞内でSAF-A のオリゴマー活性を阻害すると、染色体の不安定化が引き起こされた。この発見は、SAF-Aが、クロマチン結合性RNAと共に、転写活性な領域に、転写に呼応したダイナミックな微小環境を提供することで、クロマチン構造を制御し、同時にゲノムの不安定性からの保護に寄与しているものと考えられる。本セミナーでは、SAF-Aとクロマチン結合性RNAにより作り出される微小環境の性質や制御メカニズムについての最近の結果を紹介すると共に、DNA損傷領域のクロマチン構造再編成のメカニズムに視野を広げ、これらの知見に基づいた、がんのゲノムの不安定性の理解を目指した研究課題を提案したい。

 

参考論文: Nozawa et al., Cell, 169: 1214-1227 (2017)

 

 

日時:2018年 7月 31日(火) 16:00〜17:00

 

場所:吉田講堂

 

連絡先:広田 亨(内線5251)

 

*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。

 

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