がんの治療法について
前立腺がんに対する強度変調放射線治療(IMRT)
Chapter.1:強度変調放射線治療(IMRT)とは?
強度変調放射線治療(IMRT)とは、専用のコンピュータを用いて、複数のビームを組み合わせることで放射線に強弱をつけ、腫瘍の形に適した放射線治療を行う新しい照射方法です。(図参照)腫瘍に放射線を集中し、周囲の正常組織への照射を減らすことができるため、副作用を増加させることなく、より強い放射線を腫瘍に照射することが可能になります。
図1
従来の放射線治療では、マルチリーフコリメータと呼ばれる数mm幅の金属の板により放射線を照射する形状を作っています。IMRTではこのマルチリーフコリメータを照射中に移動させることで、放射線の強弱をつけています。
![]() |
![]() |
| 従来の放射線治療 照射中、形は一定 |
IMRT 照射中、形が変化する |
図2
従来の放射線治療は、同じ方向から照射される放射線は均一です。一方、IMRTでは、図1の様にマルチリーフコリメータを動かすことによって、放射線に強弱をつけることができます。
図3
図2の様に強弱をつけた放射線を多方向から組み合わせることで、腫瘍の形に合わせて放射線をあてることができます。
図4
従来の放射線治療に比べIMRTでは腫瘍の形にあわせて放射線をあてることが可能で、前立腺の周辺にある臓器(直腸や膀胱など)を避けて照射することができます。(下の図は比較的強い放射線のあるところのみカラースケールで表示しています。周辺臓器に全く放射線があたらないわけではありません。)
Chapter.2:当院での前立腺がんIMRTの流れについて
IMRTの場合、いくつもの放射線のビームを組み合わせて照射するため、実際に正しく照射できるか確認する必要があります。そのため、通常の放射線治療よりも開始までに時間がかかります。
| 1) | 治療計画のためのCTを撮影します。 |
| 2) | 放射線腫瘍医や放射線物理士、放射線技師が専用のコンピュータを用いて治療の計画を立て、その患者さんに最もよい治療計画を作成します。 |
ここまでは、通常の放射線治療と同様です。
前述のように、実際に治療計画通りに照射されるかを検証する必要があります。この作業は、放射線技師の手により行われます。1人の計画の検証に約8時間程度かかります。検証の結果は、最終的に放射線腫瘍医が確認し、問題なければ次のステップに入ります。
通常の放射線治療よりも、この検証作業の時間が加わるため、CTを撮影してから開始までに約2週間程度必要となります。
| 3) | 実際に放射線をあてる範囲を決め、皮膚に印をつけ、確認のためエックス線写真を撮影します。 |
| 4) | 実際の治療時間は、15~20分です。 |
| 5) | 治療期間は通常の外照射と同様に7~8週です。 |
Chapter.3:IMRT Q&A IMRTって一体どんなもの?
| Q, | 通常の外照射と治療の機械が違うのですか? |
| A, | いいえ。通常の外照射と同じ、リニアックと呼ばれる大型の治療機械を用いて行います。 |
| Q, | 普通の外照射と違って副作用は全くないのですか? |
| A, | IMRTは、外照射の一種であり、副作用も通常の外照射と同様のものが出ることが予想されます。例えば、前立腺がんであれば、頻尿や排尿困難、直腸出血などがあります。ただし、IMRTの場合、周囲の正常組織への線量を下げられるという利点があるため、通常よりも副作用を減らすことができると期待されています。 |
| Q, | 費用はどのくらいかかりますか? |
| A, | 2008年3月までは先進医療として保険診療とは別に費用をいただいていましたが、2008年4月より、IMRTは保険診療になりました。詳しくは直接医師や治療スタッフにお尋ね下さい。 |
説明文にて掲載している諸症状で思い当たる節があった場合など、
がんについての疑問・不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
自己判断で迷わず、まずは専門家である医師の検診を受けることをお勧めします。
ご相談はがんの相談ページからどうぞ。

