新しい診断と治療

がん診断における新しい診断法や治療法について

Chapter.1:治験

抗がん剤による治療方法の検討について

抗がん剤によるがんの治療は手術、放射線による治療とともにがんの治療にとって重要な手段となっています。
抗がん剤によるがんの治療は日々より効果があり、安全に使用できる治療方法の開発が進められています。
新しい抗がん剤を見いだすこと、また複数の抗がん剤を用いて治療効果を高める組合せを検討する事が行われています。
このため、新しい抗がん剤や複数の抗がん剤の組合せについて実際に人に投与して、その効果および副作用がどの程度であるかをテストする事が必要になります。
このテストを臨床試験といいますが、この臨床試験によって初めて、治療効果や副作用がどのようであるかがわかり、治療方法としての評価を行うことが出来るようになります。

「治験」とは何か

臨床試験は医療者が自ら行う自主的な臨床試験と製薬会社が計画し病院に依頼して行う臨床試験の二つに別れます。
前者を自主的臨床試験というのに対し後者は薬事法という法律に則って行われ、「治験」と呼ばれます。

臨床試験/治験の内容はさまざまである事について

抗がん剤による治療方法を検討する場合に、特定のがんに対し、ある治療方法が用いられるようになるまでには多くの臨床試験が行われます。
例えば
(1)どの程度の量まで副作用は許容できるのか、
(2) どの用量ではどの程度の効果があるのか、
(3) 実際に治療に用いるにはどの程度の量や投与間隔がよいのか、
(4) 他の抗がん剤での治療方法と比べてどの程度効果に優れているのか、
(5) 患者さんにとってどのくらいメリットがあり、またデメリットがあるのか、
(6) 体内に投与された後抗がん剤がどのような動きをするのか、等々です。

これらは一つ一つが慎重に計画され試験試験計画書としてまとめられます。
それをもとに臨床試験を行って結果を出し、その結果次にどのような試験を行うかが検討されます。

支援組織としての「新薬開発臨床センター」について

癌研での「治験」の実施に当たっては「治験はどのように行われるか」の中で示した過程で行われます。
これらは詳しくは1997年に厚生省が新しく定めた「治験の実施に関する基準」に定められています。
実際にこれを計画立案・受付、審査、試験実施、試験終了後のとりまとめ等の各段階で確実に実行するには、癌研究会として支援体制が必要になりました。
1998年6月より「新薬開発臨床センター」を癌研内に組織し、治験を含む臨床試験が科学性・倫理性を高いレベルで行うように各種の支援活動を行っています。

新薬開発臨床センター

現在参加が可能な治験および臨床試験について

治験に関する情報の開示は法律「医療法」・「薬事法」にもとづいて行う事が必要な状況にあります。しかし、現在の所は認められておりません。
現在、検討中です。この結論がはっきりして治験情報の開示が可能になりましたら必要な情報を提示していく予定です。

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Chapter.2:遺伝子診断

がんの遺伝子診断

がんは遺伝子の異常により発生するものであるということが明らかとなり、予め遺伝子の検査をすることで、がんにかかりやすい人とそうでない人がわかるようになってきました。
遺伝子検査の結果を臨床症状と総合して診断することを「遺伝子診断」と言います。
遺伝性のがんは全体の5~10%といわれておりますが、家系に特定のがんが多発している人は、若い時からがんが発生する可能性があります。
予め遺伝子診断を受けて、自己の遺伝子の状況を知り、もし体質の遺伝があったとしたら、定期的に検査を受けて早期発見・早期治療を心がけることが必要です。
もし、遺伝があったとしても、早期発見・早期治療をすれば、がんを完治させることは十分に可能です。
なお、遺伝子検査では、このような家族性がんの発症前診断の他に、がん組織の有無や、がんの悪性度の診断等も行われるようになってまいりました。
また、最近では、遺伝子の配列を調べてその配列の違いから生ずる薬の効果、副作用等を調べて、個人に、またそれぞれのがんの個性にあわせた治療方法等の研究が進められております。

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がん遺伝カウンセリングと遺伝子診断のご案内

癌研究会有明病院で行っている遺伝子診断

次の二つについて、高度先進医療としての国の承認を受け実施しております。

1.悪性腫瘍の遺伝子診断[固形腫瘍のDNA診断]
胃がん、大腸がん、膵臓がん、肺がん、膀胱がん、乳がん、子宮がん等の遺伝子異常を調べるもの。
検査の解説
2.子宮頸部軽度異形成の診断[子宮頸部前がん病変のHPV-DNA診断]
検査の解説
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Chapter.3:乳がんの遺伝子治療

がんの遺伝子診断

この臨床研究は、これまで行われてきた自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法に、新たに耐性遺伝子を組み合わせて、化学療法の有効性と安全性を高めようとするものです。
すなわちこの遺伝子治療で計画していることは、血液細胞に耐性遺伝子を導入し抗がん剤に対して抵抗性を持たせることにあります。
すなわち、支持療法としての有用性を目指した遺伝子治療でありまして、がんに対する遺伝子の直接的抗がん効果を得ようとするものではありません。

多剤耐性(MDR1)遺伝子治療では、がん患者より採取した末梢血幹細胞よりCD34陽性造血幹細胞(すべての血液細胞に分化しうる未熟な多能性な幹細胞)を分離し、この幹細胞にヒト多剤耐性遺伝子(MDR1)をレトロウイルスを用いて患者体外環境下で導入します。
このMDR1遺伝子を導入した患者造血幹細胞を患者に戻し、患者の血液細胞を抗がん剤耐性とします。このため、MDR1遺伝子を導入された血液細胞を戻された患者では、化学療法施行に付随する骨髄抑制の軽減が期待されます。
すなわち、本治療により副作用軽減効果に基づく患者のQOLの向上と、抗がん剤投与の安全性向上による治療効果の改善が期待されます。

本研究の対象は進行乳がん症例で、先行する化学療法により病変の臨床的完全消失(CR)またはその多くが消失(PR)した症例です。
このような症例に対してインフォームド・コンセント取得後、本遺伝子治療を開始します。
患者より末梢血単核細胞を採取し、その約1/3量からCD34陽性造血幹細胞を分離します。
これに患者体外環境下培養フラスコ内でMDR1遺伝子を導入し、その後凍結保存します。
このような準備が整ったところでがん細胞のせん滅を目指した大量化学療法を患者に施行します。
そのあと凍結保存しておいたMDR1遺伝子導入造血幹細胞と残りの2/3の未処理末梢血単核細胞を解凍し患者に戻し移植します。
強力な大量化学療法により患者の病気は可成り改善されますが、治癒を目指すためには、更なる治療が必要であると考えられます。

しかし大量化学療法施行直後の再生骨髄はぜい弱であり、通常その後のがん化学療法の施行は困難なことが多いです。
この問題点を改善してその後の化学療法を行うために、この遺伝子治療を支持療法として行います。
すなわち、MDR1遺伝子治療後の骨髄は、抗がん剤耐性の性格が付与されるため、がん化学療法による骨髄障害は少ないと予想されます。
このため、大量化学療法施行後でも継続してがん化学療法を行うことが可能になると期待されます。
よって大量化学療法施行後骨髄の完全回復を待ってMDR1関連の抗がん剤であるドセタキセルによる治療を再開し治療効果の向上を目指します。

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Chapter.4:大腸がんに施行される新たな臨床試験

新型血管新生阻害剤

大腸がんに対する化学療法は近年、飛躍的に進歩しています。オキサリプラチン、カペシタビン等の既存の抗がん剤の誘導体に加え、今年、新たに2種類の分子標的治療剤が米国で承認されました。このうち、血管新生阻害剤の臨床試験が当院でも開始される予定です。

血管新生の概念

がんが増えるには酸素、栄養補給路が必要です。直径数mm以上にがんが増殖するには、栄養血管新生が必要である事が知られています。近年米国で血管内皮細胞に対する増殖因子としてVEGFが発見されました。
VEGFは大腸がん、乳がん等の各種のがんで高発現している事が明らかになっています。
当院ではこのVEGFに対する抗体の臨床試験を行なう予定です。
米国で大腸がんに対する標準療法は近年までIFL療法でした。このIFL療法に血管新生阻害剤を上乗せした治療では生存期間の有為な延長を認めています。また本年度のアメリカがん学会では日本でも良く使用される5-FU/LV療法に血管新生阻害剤を併用した研究が行なわれ、治療奏効期間の延長を認めています。

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自己判断で迷わず、まずは専門家である医師の検診を受けることをお勧めします。
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