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【プレスリリース】細胞分裂を制御するセパレース活性の可視化に成功 −がんの細胞分裂異常に着目した、新たな治療法につながる成果−

2012年07月17日

がん研究会の広田亨がん研究所実験病理部長らの研究グループは、染色体分離を遂行する酵素「セパレース」が持つ酵素活性の可視化に成功しました。これは、がんの細胞分裂異常を解明することを可能にし、さらには、新たながん治療法の開発につながる成果です。

 

細胞分裂の正常な進行過程に重要な染色体分離は、セパレースが、染色体を接着しているタンパク質複合体(コヒーシン)を切断することによって開始されますが、セパレースが活性化される機構は長らく明らかにされていませんでした。広田部長らは、このセパレースの活性を計測するセパレース・センサー(基質ペプチドと蛍光タンパク質融合体)を開発し、細胞が分裂する際に、いつ・どこでセパレースが活性化するのかを可視化して、その機構を世界で初めて明らかにしました。このセンサーを用いた解析により、セパレースは、コヒーシンを切断後、細胞分裂を進行させるサイクリン依存性キナーゼ(Cdk1)を抑制するという機能を発揮し、分離した染色体をさらに引き離して、細胞分裂プロセスを促進するという作用も見出しました。

すなわち、染色体分離の遂行において極めて重要な役割を担っている鍵酵素であるセパレースの活性を可視化し、その絶妙な作用機序を明らかにすることに成功しました。

 

この研究成果は、染色体不安定性というがん細胞の本質的な性質の解明に大きく貢献するばかりではなく、がんの細胞分裂異常に着目した、全く新しいタイプの抗がん薬の研究開発を可能にするものです。セパレースを分子標的とした抗がん薬は世界でもまだ開発されておらず、新たな分子標的がん治療薬の創製が期待されます。

 

 この研究成果は既に特許出願され、2012716日(米国時間)に米国科学誌「Developmental Cell」に掲載されました。

 

※詳細は添付のリリース文書をご覧ください。

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