新着情報

印刷

  • HOME
  • 新着情報
  • 【がん研セミナー(7月26日)のお知らせ「Anaphase catastropheによる肺癌治療の展望」:川上 正敬  博士 (The University of Texas MD Anderson Cancer Center)】

新着情報

【がん研セミナー(7月26日)のお知らせ「Anaphase catastropheによる肺癌治療の展望」:川上 正敬  博士 (The University of Texas MD Anderson Cancer Center)】

2018年06月26日

がん研セミナー(7月26日)のお知らせ

 

演題:Anaphase catastropheによる肺癌治療の展望

 

演者:川上 正敬  博士 (The University of Texas MD Anderson Cancer Center)

 

抄録:がん細胞はそのhallmarkとして知られる染色体不安定性を背景として、しばしば過剰な中心体を持つ。過剰中心体はaneuploidyを引き起こし、外的ストレスへの耐性や細胞増殖促進などがん細胞の生存に有利な特性をもたらす一方で、細胞分裂の際の染色体の分離異常は細胞に有害である側面も持つ。

我々は肺癌細胞においてCDK1/CDK2阻害により、細胞分裂の際に過剰中心体の二極への収束が阻害され、細胞の多極分裂とそれに伴う染色体分離異常を経て娘細胞にアポトーシスが誘導されることを明らかにし、これをanaphase catastropheと名付けた (Galimberti F, et al. Clin Cancer Res. 2010; Kawakami M, et al. J Natl Cancer Inst. 2017)。CDK1/CDK2阻害によるanaphase catastropheの誘導は、過剰中心体を持たない正常細胞では回避され、がんに比較的特異性を持つ治療戦略として期待できる。その分子メカニズムとしては、中心体タンパクの一つであるCP110のリン酸化阻害によることがわかった (Hu S, et al. Cancer Res. 2015)。興味深いことに KRAS活性はユビキチン機構を介してCP110タンパクを不安定化し、そのためanaphase catastropheは特にKRAS変異のある肺癌細胞で誘導されやすい (Kawakami M, et al. Mol Cancer Ther. 2018)。KRAS変異肺癌の治療法確立は肺癌臨床において未だに課題であり、anaphase catastropheによる治療戦略の今後の臨床的な模索が望まれる。

 

日時:2018年 7月 26日(木) 18:00〜19:00

 

場所:吉田記念講堂

 

連絡先:片山量平(内線5421)

 

*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。

 

 

このページのTOPへ