がんに関する情報

前立腺がんの小線源治療

目次

Chapter.1: 前立腺がんの小線源治療とは

前立腺がんの小線源治療は、放射線を放出するヨウ素125線源を前立腺内に挿入し、内部から前立腺全体に放射線をあてる治療法です。線源は直径1mm長さ約5mmで、通常前立腺内に50〜100個程度埋め込みます。小線源治療は早期の前立腺がんに対して行われ、治療成績は手術や外照射と同程度と考えられています。ヨウ素125線源からは数mmしか十分な放射線が届かないため、直腸などの周辺臓器の線量を最小限にし、前立腺がんに対して十分な放射線をあてられることがこの治療法の利点です。

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Chapter.2: 小線源治療の対象

小線源治療では、放射線は線源のすぐ近くの範囲にしかとどきません。そのため、前立腺内にとどまっている早期のがんが対象になります。治療前のPSA*やグリソンスコア*、がんのひろがりを参考にして、がんの悪性度を判断し、小線源治療単独、または、外照射の後に小線源治療を行います。
注)
PSA;前立腺特異抗原とよばれる腫瘍マーカーで、前立腺がんで上昇します。
グリソンスコア;前立腺を生検し、病理検査で診断したがんの悪性度のことです。グリソンスコアは2〜10まであり、悪性度が高いものほど数字が大きくなります。

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Chapter.3: 小線源治療の流れ

治療前検査

治療が実施可能か、また治療に線源が何個必要かを判断するために直腸から超音波検査を行います。前立腺肥大症などで前立腺が大きく骨盤の骨と前立腺が重なって針が刺せない場合には、小線源治療はできません。このような時には他の治療法を選択するか、数ヶ月間ホルモン治療を行い、前立腺を縮小させた後に再度治療前検査を行っています。

治療計画

治療前検査で得られた超音波画像を元に、必要な線源の個数と配置を決定し線源を注文します。線源注文から納入まで約10日かかります。

線源挿入

治療後は微量の放射線が体外に放出されるため、周辺への影響が軽微であることが確認されるまで個室に入院していただきます。
治療当日は、全身麻酔を行い治療計画に従って線源を挿入します。線源挿入にかかる時間は約2時間です。麻酔の影響で当日は歩行できませんが、翌日からは今まで通りの生活をしていただけます。刺入部に痛みがある場合もありますが、通常、痛み止めを内服することで対処できます。
線源挿入後1日程度は、挿入した線源が排尿時に尿と一緒に体外に出る可能性があり、線源挿入翌日の夕方まで個室から出ることはできません。

治療の評価

治療に伴い前立腺が腫大したり、挿入後に線源が移動したりするため、治療後にCTを撮影し、前立腺に対しどの程度放射線があたっているかを評価します。
手術と異なり、外照射や小線源治療では治療後のPSAの低下はゆるやかで、最低値になるまで2〜3年かかることもよく見られます。また、再発が無くても、線源挿入後1〜2年にPSAが一過性に上昇する場合があります。このような場合、無治療でPSAが再度低下してくるため、治療後は定期的に診察を受けてPSAの値を調べる必要があります。

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Chapter.4: 副作用

治療後は、穿刺部の腫脹や軽い痛み、血尿、排尿困難、排尿時痛などが数日続きます。その後、残尿、頻尿などが高頻度におこり、排便回数の増加、勃起障害などが生じることもあります。治療後半年程度でこれらの症状に改善傾向がみられますが、1年以上継続する場合もあります。しばらくしておこる副作用として、尿道狭窄(排尿に時間がかかり、非常に尿が出にくい状態)や直腸出血なども報告されています。

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Chapter.5: 小線源治療後の生活

治療後、体から弱い放射線が放出されます。このため、身近な人への放射線の影響を計算し、問題がないかを確認しています。通常は一緒に生活をする人や周囲の人への影響はありませんが、半年程度は小さいお子さんや妊婦さんなどのすぐ近くに、長時間いるのは避けていただいています。
治療後1年間は、治療を受けたことを示すカードの携帯が義務づけられています。また万一、1年以内に他の病気などで死亡された場合には、前立腺を摘出することが法令で定められています。

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