がんに関する情報

各疾患別の放射線治療

目次

放射線治療はほとんど全てのがんが治療の対象となります。各疾患によって治療内容は大きく異なります。主な疾患についてそれぞれの放射線治療の方法や頻度の高い副作用をまとめました。同じがんであっても治療法によって副作用は異なりますので、実際に治療する場合は担当医から説明を受けてください。全身状態や併用療法にもよりますが、多くの場合、放射線治療は通院で行うことができます。
また、疑問があれば担当医や放射線治療スタッフに遠慮なくお尋ね下さい。

Chapter.1: 頭頸部がん

早期の喉頭がんや中咽頭・下咽頭がんに対する放射線治療は、手術と同等の効果があり、声を出す機能を温存することができます。上咽頭がんは、解剖学的に手術が難しく、放射線治療が第一に行われ、必要に応じて化学療法を併用します。また、進行した頭頸部がんで、手術ができない場合にも放射線治療を行います。最近は、放射線治療と同時に化学療法を行うことで、治療成績が向上してきています。がんの種類や広がりによって異なりますが、治療期間は6〜8週程度です。
タバコは治療の効果が低下する可能性があるため、放射線治療中・治療後も禁煙を心がけましょう。

副作用とその対策

治療中の副作用には、のどの痛みや味覚障害、唾液の出にくさなどがあります。のどの痛みは通常2〜3週目にかけて起こり、治療終了後は数週間継続しますがやがて消失します。食事は軟らかいものを少量ずつ食べるように心がけ、熱いもの、香辛料、アルコールなどの刺激物は避けてください。これらの症状に対して、うがいや痛み止めの薬を使用して対応します。抗がん剤を同時に使用した場合は、副作用が強く出るため、点滴などの栄養管理が必要になることがあります。味覚障害は、治療終了後も6ヶ月以上続くことがあります。唾液の出にくさは治療終了後も残りますので、ペットボトルを持ち歩いたりして、口を潤すようにしていただくことが多いようです。また、虫歯ができやすくなるため、口腔内を清潔に保つ必要があります。

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Chapter.2: 食道がん

基本的には手術が行われますが、最近では放射線治療と化学療法を同時に行う治療法が注目されています。年齢や心疾患など他の病気で手術ができない場合にも放射線治療が行われます。また、食道の狭窄が強く、食事がとれない場合には、症状の改善を目的に放射線治療を行う場合もあります。治療期間は5〜8週です。

副作用とその対策

治療中の副作用は、食道の炎症による食べ物のつかえ感や飲み込み時の痛みです。このような症状は、通常2〜3週目にかけて起こり、治療終了後は数週間継続しますがやがて消失します。食事は軟らかいものを少量ずつ食べるように心がけ、熱いもの、香辛料、アルコールなどの刺激物は避けてください。また、食前に粘膜を保護する薬を飲んだりすることがあります。抗がん剤を同時に使用するときには副作用が強く出ることがあり、点滴による栄養管理が必要になることがあります。
また、食道に放射線をあてる際は周囲の肺にも放射線があたります。そのため、放射線治療が終了して数ヶ月後に、放射線肺炎と呼ばれる副作用が起こることがあります。主な症状は、発熱、息切れ、咳です。放射線肺炎の程度には個人差があり、また予測が困難であるため、気になる症状を認めた場合には受診してください。

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Chapter.3: 肺がん

肺がんは大きく小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2つの種類に分けられます。

1.小細胞肺がん

がんの広がりが肺の中、あるいは肺周辺のリンパ節にとどまっている場合は、放射線治療と抗がん剤を組み合わせて治療します。同時に二つの治療を併用することもありますし、抗がん剤を先に行ってから放射線治療を行うこともあります。抗がん剤と同時に放射線治療を行う場合は、約3週間かけて1日2回(午前と午後)に放射線治療を行います。抗がん剤の後に放射線治療を行う場合は、5〜6週間かけて1日1回放射線治療を行います。
また、肺の治療後に、脳への転移を予防する目的で、脳全体に2週間かけて放射線治療をすることもあります。これを予防的全脳照射と呼んでいます。

2.非小細胞肺がん

がんが肺周囲のリンパ節にひろがり手術ができない場合には放射線治療を行いますが、抗がん剤と組み合わせることもありますし、放射線治療のみで治療することもあります。放射線治療の期間は通常6〜7週間です。
また、リンパ節に広がっていない小さな肺がんには通常手術が行われますが、肺の機能が低下しているなどの理由で手術ができない場合は、放射線治療を行います。当院ではこのような肺がんに対して、リニアック一体型CTを用いて病巣に集中して放射線をあてる体幹部定位照射(ピンポイント照射)を行っています。

副作用とその対策

治療中もっともよく起こる副作用は、食道の炎症による食べ物のつかえ感や飲み込み時の痛みです。このような症状は、通常2〜3週目にかけて起こり、治療終了後は数週間継続しますがやがて消失します。副作用に対して、粘膜を保護する薬を内服していただくことがあります。食事は軟らかいものを少量ずつ食べるように心がけ、熱いもの、香辛料、アルコールなどの刺激物は避けてください。
放射線治療が終了して数ヶ月後に、放射線肺炎と呼ばれる副作用が起こることがあります。主な症状は、発熱、息切れ、咳です。放射線肺炎の程度には個人差があり、また予測が困難であるため、気になる症状を認めた場合には受診してください。

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Chapter.4: 乳がん

乳がんでは、病気の状態によって手術の後に放射線治療を行うことがあります。乳がんの手術には、病巣のみを摘出し乳房を温存する乳房温存療法と、乳房全体を摘出する乳房切除術があります。乳房温存療法の場合は、温存手術した乳房に放射線治療を行い、乳房内の再発を予防します。また、乳房切除を行った場合でも、再発の可能性が高いと考えられるときは、手術をした胸壁と周囲のリンパ節に対して、再発予防を目的に放射線治療を行います。いずれの場合も、抗がん剤やホルモン療法と組み合わせて行うことがあります。治療期間は、乳房温存療法の場合は4〜8週、乳房切除後の場合は5〜6週です。
また、再発した病巣を消失させたり小さくすること、もしくは症状を緩和することを目的に放射線療法を行うことがあります。

副作用とその対策

放射線のあたる皮膚がヒリヒリしたり、赤くなったりします。こすったり強い刺激を与えたりしないようにしましょう。また、体を締め付けるブラジャーの使用は控えましょう。

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Chapter.5: 胆管がん・膵臓がん

胆管がんは基本的には手術が行われますが、切除できない進行がんでは放射線治療を行うことがあります。放射線治療は、外照射だけでなく外照射と併用して腔内照射を行うことがあります。これは、胆管の中に挿入してある細いチューブを通して放射線をあてる方法です。
膵がんも基本的には手術が行われますが、切除できない場合、放射線治療と化学療法を組み合わせた治療を行うことがあります。

副作用とその対策

治療中は、だるさや食欲不振が起こることがありますが、たいていは軽度です。また、胃・十二指腸に放射線があたるため上腹部痛がおこることがあり、症状によっては胃薬を内服していただくことがあります。

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Chapter.6: 大腸・直腸がん

大腸がんは基本的には手術が行われます。放射線治療は補助的なものであり、リンパ節転移が多数ある場合や、がんが周囲にひろがっている場合には、再発の予防を目的に、手術の後に放射線治療を行うことがあります。
直腸がんも治療の主体は手術です。進行がんの場合、手術の前や後に、放射線治療と抗がん剤を組み合わせて行うことで、治療成績を向上させることができるといわれています。最近では、手術の前に放射線治療と抗がん剤の治療を行うことで、人工肛門を作らずに肛門を温存できる可能性があると考えられています。

副作用とその対策

がんがひろがりやすい骨盤のリンパ節を含めた広い範囲に放射線があたるため、放射線腸炎による下痢が出現することがあります。症状によっては、下痢止めの薬を内服していただきます。
直腸がんの場合、直腸や肛門の炎症によって、排便時に痛みを伴うことがあります。必要に応じて痛み止めを使用し、排泄後はウォシュレットなどを用いて清潔を保つようにします。

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Chapter.7: 前立腺がん

当院では、外照射と小線源治療の2種類の治療法を行っています。

1.外照射

前立腺がんに対し、強度変調放射線治療(IMRT)を行っております。
一般に、がんが前立腺にとどまっている場合に行いますが、手術や小線源治療とは異なり前立腺周囲や精嚢へひろがっている場合にも治療を行うことができます。病気の状態によっては、ホルモン療法と組み合わせて行うこともあります。治療の効果は手術と同等と考えられており、副作用としての尿失禁や性機能障害の割合は低いです。治療期間は7〜8週間です。

2.小線源治療

早期の前立腺がんに対し、ヨウ素125シード線源による前立腺がん密封小線源治療を行っています。病気の状態によっては、外照射と組み合わせて行います。治療には、数日の入院が必要です。

副作用とその対策

外照射の治療中は、尿の回数が多くなったり、尿が出にくくなったりすることがあります。必要に応じて薬を内服していただきますが、これらの症状は放射線治療が終了して数週間すれば元に戻ります。
放射線治療後半年〜2年頃に、排便の際に直腸から出血することがあります。この出血は排便後すぐに止まりますが、排便のたびに繰り返します。直腸からの出血が繰り返し起こる場合は、薬を使用したり、大腸内視鏡を行いレーザー治療をする場合があります。このような治療を行うことで、直腸から出血があっても日常生活に大きな影響を与えることはあまりありません。直腸からの出血は主に外照射で見られる副作用ですが、当院では出血の頻度は5%以下です。
小線源治療の主な副作用は、頻尿や排尿困難感などの排尿障害で治療後半年程度続きます。その後、症状は徐々に改善しますが、1年以上継続する場合もあります。

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Chapter.8: 子宮がん

子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんの2種類があります。

1.子宮頸がん

早期の子宮頸がんは、手術または放射線治療が行われます。治療の効果は同等といわれています。手術ができない場合には、放射線治療が行われます。最近、進行がんであっても、放射線治療と同時に抗がん剤を併用することで、治療成績が向上してきています。放射線治療を行う場合は、外照射と小線源治療(腔内照射)の2種類の方法を組み合わせて行うことが多いです。病気の状態によっては、腔内照射のみで治療する場合もあります。

2.子宮体がん

通常は手術が行われますが、年齢や心臓の病気など他の病気で手術ができない場合には、放射線治療を行います。子宮頸がんと同様に、外照射と腔内照射の2種類の方法で行います。
子宮体がんの小線源治療(腔内照射)については、こちらもご参考にしてください。

副作用とその対策

外照射の際には、がんがひろがりやすい骨盤のリンパ節を含めた広い範囲に放射線があたります。そのため、放射線腸炎による下痢が起こりやすくなります。たいていは、下痢止めの薬を内服することで対処できます。
腔内照射では、子宮の中に治療用器具を挿入する時に痛みをともないます。通常は、痛み止めの注射などを使用しながら行います。

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Chapter.9: 悪性リンパ腫

悪性リンパ腫には、様々な種類があり、それぞれに治療方法が異なります。一般に悪性リンパ腫の病巣は少ない放射線量(回数)で消失します。
おとなしいタイプの低悪性度リンパ腫の早期例では、放射線治療だけを行うことがあります。それ以外の高悪性度リンパ腫では、病気が限られた範囲にある場合に、化学療法や抗体療法などの薬物医療法と放射線治療を組み合わせて治療します。放射線治療期間は3〜5週です。

副作用とその対策

放射線をあてる部位により副作用は異なります。例えば、首のリンパ節にあてる場合は、のどの痛みが、腹部のリンパ節にあてる場合は食欲不振・下痢がおこることがあります。副作用はいずれも一時的な症状であり、終了後1-2週間で回復します。
悪性リンパ腫について、さらに詳しく知りたい方は、悪性リンパ腫の放射線治療をご参考下さい。

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Chapter.10: 骨転移・脳転移

放射線治療によって、骨転移による痛みを緩和することができます。また、痛みがなくても、背骨(脊椎)や足や腕の骨などに転移があって、力がかかると骨折する危険性がある場合にも放射線治療を行います。治療期間は病気の状態によって異なり、1回でかける場合と1〜3週間でかける場合があります。
脳転移に対する放射線治療は、転移の数や大きさによりガンマナイフと呼ばれる治療や手術が選択される場合があります。転移の数が多い場合は、脳全体に2〜3週間で治療を行います。

副作用とその対策

骨転移の場合は、放射線をあてる部位により副作用は異なります。たとえば、首の骨にあてる場合はのどの痛みが、骨盤の骨の治療では下痢が起こることがあります。このように骨転移の放射線治療では、治療部位に応じて様々な副作用が起こる可能性があります
脳転移の場合は、頭痛や吐き気、食欲不振などの副作用が見られることがあります。

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