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Chapter.1: はじめに |
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肝臓がんは大きく転移性肝がんと原発性肝がんの2つに分類されます。
肝臓から発生する原発性肝がんの約90%が肝細胞がん(HCC:Hepatocellular Carcinoma)です。HCCは種々のがんのうち発がん因子の明らかながんの代表です。
これは、HCC患者さんの約95%がB型肝炎またはC型肝炎ウイルスによる肝障害があり、言い換えればBまたはC型肝炎患者さんは肝細胞がんの高危険群(High-risk
group)といえます。

GOT、GPT等の肝機能障害の比較的軽度の方でもHCCは発生しますので
(特にB型)、B、C型肝炎ウイルス陽性の方は定期的に経過観察が必要と考えられます。 |
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Chapter.2: 肝細胞がんの診断 |
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HCCを早期で発見するためのB、C肝炎ウイルス陽性患者さんの経過観察の方法は、基本的にはAFP,PIVKAというHCCのマーカーを含めた採血と超音波検査で行います。

検査の間隔は状況により異なりますが、肝硬変やGOT,GPTの変動の大きい方は3ヶ月毎、キャリアーといってB,C型肝炎ウイルスは陽性ですがGOT,GPTの変動のみられない型は6ヶ月毎でよいと考えられます。
超音波検査は10mm大の肝内結節を診断できる能力があり、HCCの早期発見には極めて適した検査です。肝炎の経過中に超音波で結節の出現が発見された際は、CTやMRIによりその結節がHCCか否かを診断します。

HCCであれば後述の治療が必要となりますし、CT,MRIでHCCの診断が得られなければ血管造影や超音波ガイド下腫瘍生検でさらに精密に検査します。 |
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Chapter.3: 肝細胞がんの治療 |
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HCCの治療法は他のがんと同様に外科的切除と内科的治療があります。
ただし、他のがんと異なる点は外科的切除でがんを取りきっても、残肝に新たに発がんが起きる可能性が高いことです。 一度HCCが発生した肝臓は、切除の後もがんが発生しやすい状態にあり、いわゆる"術後の再発"ではなく、新たな発がんです。
従って、HCCにおける切除率は以前よりは低下しており、肝予備能(肝臓全体の機能)が保たれており、単発で大きなものや門脈や肝静脈といった大切な大血管に接しているものが外科手術の対象となっています。

一方、内科的な治療には後述のようなものあり、それぞれに特徴を有し必要に応じ、これらを組み合わせ治療を行っています。 |
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肝動脈塞栓療法(TAE) |
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肝臓は他の臓器と異なり、動脈以外に門脈という血管からも血液供給を受けています。
一方、HCCは肝動脈からのみ栄養されており、HCCに血液を供給している肝動脈に詰めものをする(塞栓といいます)ことによりHCCを壊死に陥らせる治療です。

塞栓を行った領域の肝組織は門脈の血流により壊死に陥ることはなく、選択的にHCCを治療することができます。実際には右足に付け根に局所麻酔をし、カテーテルという細い管を動脈内に挿入し、先端を肝動脈まで挿入し造影を行いHCCを栄養する肝動脈枝を同定します。

当院ではHCCの存在する区域のみをできる限り選択的に塞栓するように努めており、これにより治療効果の向上とともに術後の副作用の軽減も可能となっています。

術後は発熱、痛み、嘔気が生じますが1週間程で消失します。TAEの治療効果の判定は、治療の3週後にCTで行います。 |
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経皮的エタノール注入療法(PEIT) |
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体外から細い針をHCCに穿刺し、エタノールを注入する治療です。エタノールには細胞の脱水固定作用があり、これによりHCCは壊死に陥ります。実際には皮膚に局所麻酔を行い、超音波でHCCを描出し確実に穿刺しエタノールを注入します。
ただし、複数回の治療が必要で2cmのHCCであれば、1回当たり2~3mlのエタノールを注入し、平均3回の治療が必要です。
この場合、週に2回の治療を施行しますので約2週間の入院が必要です。

エタノール注入時の疼痛と術後2日程は発熱が生じます。
CTにて治療効果の判定を行い退院となります。 |
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ラジオ波焼灼療法(RFA) |
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HCCに対する新しい治療法として注目されています。
ただし、保険適応は認められておらず、治療対象となり得るかをよく検討し、充分な御説明の上治療を行っています。方法はPEITと同様に超音波ガイド下に針状のプローブをHCCに穿刺し、装置に接続し焼灼を行います。

所要時間は20分程度で、焼灼により生じる疼痛に対して軽い静脈麻酔を行います。 |
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Chapter.4: 肝細胞がん患者さんが長期生存を得るために |
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当院のHCC治療成績は、TAEとPEITの併用にて治療を施行した方では3年および5年生存率は当院の、それぞれ80.0%、63.5%です。

HCC患者さんが長期生存を得るには腫瘍に対する治療効果が最も重要ですが、これだけでは不十分で肝硬変の進行や食道静脈瘤からの出血といった問題も重要です。
がんのみのコントロールだけではなく併存する病態の治療や経過観察も予後に大きく関ってきます。 |
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