癌研有明病院 THE CANCER INSTITUTE HOSPITAL OF JFCR

前立腺がん

TEL:03-3520-01111 癌研究会トップページ
HOME サイトマップ 交通案内 周辺環境 ご寄附のお願い
病院紹介 受診・ご面会 診療科・看護部・関連施設紹介 がん・医療サポートに関するご相談 よくあるご質問
広報・情報公開 お問い合わせ ENGLISH 院内・院外周辺施設
サイト内検索 by Google
がん・医療サポートに関するご相談 がん・医療サポートに関するご相談
がん・医療サポートに
関するご相談TOP
がんに関するご相談
がんの知識
各種のがんについて
肝臓がん(内科)
肝臓がん(外科)
胆道がん(内科)
胆管がん(外科)
膵臓がん
胃がん
大腸がん
食道がん
乳がん
肺がん
各骨軟部腫瘍
前立腺がん
膀胱がん
精巣がん
腎がん
腎盂尿管がん
陰茎がん
頭頸部がん
 1.口腔がん
 2.咽頭がん
 3.喉頭がん
 4.上顎がん
 5.唾液腺がん
甲状腺がん
子宮がん
卵巣がん
骨転移
がんの治療法について
がんと遺伝 
がん治療と食事
新しい診断と治療
医療サポートに関するご相談
前立腺がん
目次
Chapter.1: 前立腺がんとは
Chapter.2: 症状
Chapter.3: 診断
Chapter.4: 鑑別診断
Chapter.5: 病期診断(ステージング)
Chapter.6: 治療法
Chapter.7: 再発の診断と治療
Chapter.8: 治療の副作用と対策
Chapter.9: 生存率

Chapter.1: 前立腺がんとは

前立腺の解剖

前立腺は精液の一部を作る男性固有の臓器です。
図1に示すように膀胱、精嚢の前方に存在することが前立腺という名前の由来です。前立腺は尿道をぐるっと取り囲んでおり、普通は3~4cm大のクルミの大きさです。また、直腸に接して存在し、肛門から指で簡単に触れることができるため、直腸診という診察が前立腺の病気の診断に有用です。

正常な前立腺は円錐形を呈し、主に移行域と呼ばれる内腺部と周辺域と呼ばれる外腺部からなります。良性の前立腺肥大症は移行域から、がんの多く(約70%)は周辺域から発生します(図2)。

図1:男性骨盤の矢状断面図 図2:前立腺の矢状断面図
図1:男性骨盤の矢状断面図拡大図はこちら 図2:前立腺の矢状断面図

前立腺がんの統計

米国では男子がんのうち第一位の発生率(人口10万人対190人/1992年)で、死亡率は肺がんに次いで第二位です。わが国でも近年、著しい勢いで増加していますが、欧米に比べればまだ10分の1以下の発生率です。

図3に当院における最近15年間の年次別新患者数を示します。10年間で4倍くらい増えていますが、中でもステージBの早期がんが増加しているのが特徴的です。
発生率の増加の原因としては、高齢者人口の増加、食生活の欧風化、前立腺がん診断法の進歩の3つが考えられます。前立腺がんは50歳以降、加齢と共に直線的に増加し、ハワイやロスアンゼルスに移住した日系人は日本在住の日本人と米国人の中間の発生率を示すことが分かっています。

図3

前立腺がんの発生

前立腺がんの発生に強く関わるものは、加齢、食事(動物性脂肪)と遺伝です。
また、男性ホルモンの存在が必須ですが、発がんのメカニズムはまだよく分かっていません。前立腺がんが発生してから症状を呈するがんに育つまでには30~40年かかるといわれています。

前立腺がんの発生原因と予防

原因が未だ明確でないため予防法もはっきりしません。
ただし、疫学的な観点から、若いころよリ動物性脂肪の摂取を少なくし、緑黄色野菜を多くとるのがよいと考えられています。伝統的な日本食がよいわけです。
ページのTOPに戻る

Chapter.2: 症状

早期がん

無症状です。前立腺がんの70%は前立腺の周辺域(外腺部)に発生しますので、早期には全く無症状です。ただし、移行域(内腺部)に発生し、早期より症状を呈する前立腺肥大症という病気が、がんにしばしば合併して発生するので、その場合は次に述べるような症状がみられます。

局所進行がん

前立腺肥大症と同様な症状がみられます。
すなわち、前立腺が尿道を圧迫するため、頻尿(尿の回数が多い、特に夜間)、尿が出にくい、尿線が細く時間がかかる、タラタラ垂れる、尿線が中絶する、等の症状が見られます。このほか、がんが尿道、射精管、勃起神経に浸潤すると血尿、血精液(精液が赤い)、インポテンス(ED)等の症状も見られます。

進行転移がん

前立腺がんはリンパ節と骨(特に脊柱と骨盤骨)に転移しやすいがんです。
リンパ節に転移すると下肢のむくみ、骨に転移すると痛みや下半身の麻痺が生じることがあります。
ページのTOPに戻る

Chapter.3: 診断

血中PSA(前立腺特異抗原)測定

腫瘍マーカーとして、現在、最も有用なものです。
少量の血液を検査するだけの簡便な方法です。確定的ではありませんが、PSAは前立腺がんのスクリーニング、診断はもちろん、がんの進行度の推定、治療効果の判定、再発の診断、そして予後の予測にも役立ちます。

直腸指診

古くから行なわれている診断法です。前立腺は直腸に接していますので、外側の周辺域に好発するがんは、ある程度の大きさになれば直腸から指で診断することが可能です。

経直腸エコー検査

肛門から行なう超音波検査です。前立腺内部の異常の有無を観察します。

生検検査

以上の3つの検査で前立腺がんの存在を疑うことができますが、確定診断のためには前立腺の組織の一部を採取し、がん細胞の存在を病理学的に証明することが必要です。
バイオプテイガンという優れた生検器具の開発により、診断の精度が高くなると共に、痛みもほとんどありませんので、経直腸的に行なう場合は麻酔の必要はなく外来で行なうことができます。ただし、経会陰的にエコーガイドで行なう場合は麻酔が必要ですが、精度が高くなります。
ページのTOPに戻る

Chapter.4: 鑑別診断

前立腺肥大症

前立腺がんと同様に、加齢と共に増加します。
しかし、がんと違って発生率に人種差はあまりありません。がんは直腸診で硬く触れますが、肥大症は全体的に柔らかいのが特徴です。PSAは20%の人で高くなりますが、肥大症とがんが合併することも少なくないので注意が必要です。

前立腺肉腫

がんと同様に悪性な腫瘍ですが、がんが腺細胞から発生するのに対し、肉腫は前立腺の支持組織である筋肉などの間質細胞から発生します。また、若い人に多いのが特徴です。

前立腺炎

炎症でもPSAが高くなります。特に急性炎症では、100mg/ml以上と非常に高くなることがあります。結核は触診で表面が不整で非常に硬く触れます。
ページのTOPに戻る

Chapter.5: 病期診断(ステージング)

生検検査でがんと診断が確定したら、次に行なうことは病気の進行度の診断です。治療法の決定に必須の検査です。

病期診断法

1. 原発巣の進行度診断:
直腸診、経直腸エコー、MRIなどで診断します。
2. リンパ節転移の診断:
腹部CT、MRI、腹部エコーなどで診断します。
3. 骨転移の診断:
骨シンチグラム、単純X線写真、CT、MRIなどで診断します。
4. 肺、肝転移などの診断:
単純X線写真、CTなどで診断します。

前立腺がんの病期(ステージ)


病期A 前立腺肥大症に対する手術の結果、偶然発見されたがん

病期A
病期B 限局がん、すなわちがんが前立腺の中におさまっている場合

病期B
病期C がんが前立腺の被膜を超えて周囲脂肪組織、精嚢もしくは膀胱頚部に浸潤している場合

病期C
病期D がんがリンパ節や骨、肺、肝などの遠隔臓器に転移している場合

病期D
ページのTOPに戻る

Chapter.6: 治療法

以下に述べるようにいろいろな方法があります。
当院では患者さんの希望も考慮して治療法を決定しています。当院での年次別治療法の推移を図5に示します。

図5

外科療法(根治的前立腺全摘除術)

前立腺を精嚢と共に摘除し、膀胱と尿道をつなぐ手術です。
局所療法ですから適応は、転移のないステージAとB、それにCの一部の方です。下腹部を切る恥骨後式と股の間を切る会陰式があり、最近では腹腔鏡を用いた術式も行なわれています。

当院では恥骨後式を行ない、平均的に、入院期間は3~4週間、過去10年間の平均手術時間は2時間40分、出血量は900mlです。希望者には自己血貯血を行なっています。
外科療法(根治的前立腺全摘除術)
前立腺がんの摘除標本:耳のようなものは精嚢、小さな角のようなものは精管膨大部の断端

放射線療法

1. 外照射
当院ではリニアックを用いた外照射を行なっています。
通常は、通院治療です。局所療法ですから、適応はやはりステージA~Cとなります。
2006年4月より前立腺がんに対する強度変調放射線治療(IMRT)が開始されました。
さらに、2007年春からはIMRTに対する先進医療が承認されました。
詳しくは、前立腺がんに対する強度変調放射線治療(IMRT)の項をご参考下さい。
2. 小線源治療(組織内照射)
125I(ヨー素)という線源を入れる微小な針を会陰部から前立腺の中に刺入します。
腰椎麻酔下に行い、4日間の入院(個室)が必要です。
詳しくは、前立腺がんに対する小線源治療をご参考下さい。

ホルモン治療

LHRHアゴニスト(注射)もしくは女性ホルモン剤(エストロゲン)の投与による内科的去勢、抗男性ホルモン(アンチアンドロゲン)剤の内服、および手術により両側の睾丸(精巣)を摘除する外科的去勢とがあります。
これらを併用する場合もあります。全身療法ですから転移のあるステージDが適応となります。局所進行がん(ステージC)では手術もしくは放射線治療の前に6~8ヶ月間ホルモン治療を併用する合併治療をしばしば行ないます。

経過観察

なんら治療せずに厳重に経過観察のみを行なう方法です。
治療法にはそれぞれ副作用が必ず伴いますから、現在の生活の質を大切にしたい場合、がんが微少で病理学的悪性度が低い場合、症状のない超高齢者の場合などが適応となります。

病状の進行が心配される場合にはもちろん治療を開始しますが、前立腺がんは一般的に進行が遅いためこの方法が適応となる患者さんはそれほど少なくありません。

化学療法

内分泌(ホルモン)療法の効果を認めなくなった前立腺がんは内分泌療法抵抗性前立腺がん(hormone refractory prostate cancer: HRPC)と呼ばれて、従来から抗がん剤も無効とされ、治療に難渋してきました。最近米国で行われた2つの大規模な臨床試験、SWOG9916とTAX327試験の結果、ドセタキセル (タキソテール(R):サノフィ・アベンティス) の治療効果が認められました。
本邦でも2008年にドセタキセルという薬剤が健康保険適用となって、内分泌療法抵抗性前立腺癌に対する化学療法の第一選択薬として積極的に使用されています。
この他、進行期前立腺癌患者さんでは骨転移を認めることが多いのですが、骨転移の進行を抑制するために、3-4週毎のビスフォスフォネート製剤、ゾレドロン酸 (ゾメタ(R):ノバルティスファーマ) の投与が推奨されています。
ページのTOPに戻る

Chapter.7: 再発の診断と治療

再発にはPSA再発と臨床的再発の2つがあります。

PSA再発

治療を行ない、正常化した血中PSA値が再び上昇してきた場合です。
限局がん(ステージA、B)では臨床的再発(リンパ節や骨への転移など)が見られる数カ月ないし数年前からみられます。PSA再発に対する標準的治療法はまだ確立していません。経過観察、放射線、ホルモン治療、化学療法などが状況に応じて考えられます。

臨床的再発

限局がんでは治療後に局所再発や遠隔転移が新たに出現した場合、進行がんでは治療により落ち着いていた病巣が再び増大したり、新しい転移巣が見られた場合です。ほとんどの場合、PSAの再上昇を伴います。治療はやはり状況に応じていろいろです。
ページのTOPに戻る

Chapter.8: 治療の副作用と対策

手術

インポテンス(ED)と尿失禁が主なものです。
EDは勃起神経温存手術により防止できる可能性がありますが、がんが大きい場合や広がっている場合は非常に危険です。尿失禁は3ヶ月で50%の人が、6ヶ月で90%の人がおおむね改善しますが、1日数枚のパッドを要する方が10%弱見られます。

放射線

1. 外照射
治療中に見られる急性のものと治療後数年たってから見られる 晩期障害とがあります。
治療中の後半から尿が近い、出にくいなどの排尿障害がしばしば見られますが、これは一過性です。
晩期合併症としては放射線性膀胱炎や直腸炎による血尿、血便や痛みなどです。痔のひどい人は直腸、肛門の副作用が強くみられるようです。
2. 小線源治療
治療直後の排尿困難は外照射より高度で尿閉状態になることもあります。晩期障害は軽度です。

ホルモン治療

治療方法がなんであれ、男性ホルモン欠落症状として、ED、ホットフラッシュ(ほてり:カッと熱くなり汗が出ること)、筋力低下、骨粗鬆症、うつ状態などいろいろ見られます。
女性ホルモン剤では血液凝固能の亢進、これに伴い心、血管系障害が起こることがあります。
ページのTOPに戻る

Chapter.9: 生存率

ステージにより大きく異なり、他のがんと同様にステージが進むほど悪くなります。
しかし、前立腺がんは一般に進行が遅く、いろいろな治療法があるため5年以内に前立腺がんのために命を失う確率は、ステージA、Bでは10%以下、Cでは20%以下と低い数字です。
転移があると数字は大きく下がりますが、骨転移があっても5年生存率は30%くらいです。また、転移があっても、転移巣が小さいほど生存率が良好な結果が見られていますので、ステージDといえども早期発見、早期治療は重要です。
ページのTOPに戻る
個人情報の取り扱いについて リンク集 当サイト利用上の注意
〒135-8550 東京都江東区有明3-10-6(臨海副都心) TEL:03-3520-0111(大代表) FAX:03-3520-0141
Copyright © 2004 Japanese Foundation For Cancer Research. All Rights Reserved.