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診療科・部門紹介

消化器センター

最終更新日 : 2017年2月28日

診療科の特徴|診療実績|スタッフ紹介トピックス

診療実績

症例数

当院の食道がんに対する食道切除手術症例数は増加傾向にあり、2012年以降は年間100例を超える手術症例となりました(図1)。

図1.食道癌切除症例数の推移

臨床病期別に見た手術成績

当院の過去10年間の手術症例の生存率を示します(図2)。左は食道がん以外の原因で亡くなられた方も含めた全生存率、右は食道がんが原因で亡くなられた方の生存率を示しています。手術症例の生存率を年代別に見ると、徐々に治療成績が向上していることが分かります(図3)。特に近年の成績向上には術前化学療法を含めた治療戦略の変化が寄与しているものと考えます。

図2.食道切除後の生存率

図3.食道切除後生存率の年代別推移

低侵襲手術への取り組み

からだにやさしい食道がん手術を目指して、胸腔鏡・腹腔鏡による食道がん手術に取り組んでいます。鏡視下手術の割合は年々増加し、胸腔鏡は87%の症例に、93%の症例には胸腔鏡または腹腔鏡を用いた手術を行っています(図4)。鏡視下の食道がん手術では手術の傷を小さくすることで手術の負担を軽減し、術後の回復を早める効果が期待されます。また、内視鏡を用いた拡大視効果により、より精密な手術が可能となります(図5)。食道がん手術後の血液検査での炎症反応(血清CRP値)のピークを比較すると、鏡視下手術の術後では、開胸・開腹手術に比較して炎症反応のピークが下がっていることが分かります(図6)。

図4.食道癌に対する鏡視下手術の割合
図5.食道癌に対する鏡視下手術
図6.開胸・開腹手術と鏡視下手術の術後炎症反応(血清CRP値)の比較

高度進行癌に対する集学的治療

食道がんは周囲を重要臓器に囲まれているため、局所の癌の浸潤により致命的になる場合があります。初診時に切除困難と考えられる症例に対しても、化学療法や化学放射線療法で切除可能となることがあります(図7)。このような局所進行癌に対して様々な治療法を組み合わせる集学的治療にも取り組んでおり、根治切除可能と判断すれば積極的な手術を行っています。

図7.集学的治療で根治切除に至った局所進行食道癌

根治的化学放射線療法後の救済手術

根治的化学放射線療法は食道がんに対して根治を期待できる治療法ですが、治療後の遺残・再発に対しては救済手術がほぼ唯一の治療法となります。当院は世界でも有数の救済手術の経験を有しています(図8)。サルベージ食道切除で壁深達度の比較的浅いもの(ypT0-2)、完全切除(R0切除)が施行された症例では長期生存が期待できることを報告しています(図9)。食道癌の深達度がT2までの症例、化学放射線療法で完全完解が得られた後の再発症例ではR0切除が行えることが多く、手術の危険性も通常の手術と大きく変わらないことから、救済手術の良い適応と考えます。またこのような症例に対しては鏡視下手術も選択肢となり得ます。一方で、深達度T3以深の症例、化学放射線療法の効果不良の症例はR0切除の可能性が低く、また在院死亡率が10%を超えるハイリスク手術となります。長期生存の可能性と手術のリスクについて十分な説明の上で手術の適応を判断いたします。

図8.がん研のサルベージ手術症例数
図9.サルベージ手術の成績(がん研有明病院、Watanabe M他、Ann Surg Oncol 2015; 22: 4438-4444)

周術期管理チーム(ペリカン)による術後合併症の軽減

当院では多職種による周術期管理チーム(ペリカン)を結成し、術後合併症の軽減に努めています(図10)。外来を受診されると、禁酒・禁煙の指導、歯科医師による口腔内のチェックを行います。手術が決定した後は理学療法士によるリハビリ指導、薬剤師による持参薬の確認、口腔内ケア等を行います。術前の栄養状態が悪い場合には栄養管理も行います。術後は早期離床、リハビリを行うとともに、嚥下機能の評価、食事指導等を行っていきます。ペリカンの導入後には術後肺炎の発生頻度が減少し、術後在院日数も短縮傾向です(図11)。

2005年から2016年のがん研有明病院の手術症例1136例では術後30日以内の死亡が0.5%、在院死亡率は1.6%、在院死亡の危険性が高い根治的化学放射線療法後の救済手術症例を除くと在院死亡率は1.0%でした。

図10.食道がん周術期管理チーム(ペリカン)
図11.食道癌術後合併症と在院日数の推移

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