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診療科・部門紹介
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漢方サポート科

漢方サポート科

最終更新日 : 2016年11月4日

漢方サポート科|診療科の特徴診療実績スタッフ紹介

漢方サポート科

星野 惠津夫
星野 惠津夫
漢方サポート科部長

欧米では、がん専門病院の多くに、補完代替医療(統合医療)の診療部門があります。その目的は、がんやその治療に伴う苦痛を緩和し、また通常の治療が無効となった患者に、さまざまな治療法を提案し、患者を絶望させず、「がん難民」をつくらないことにあります。

例えば米国テキサスのMDアンダーソンがんセンターでは、ディレクターのDr. Cohenを中心とする多くのスタッフやボランティアにより、食餌療法、フィットネス、ヨーガ、瞑想など、さまざまなプログラムが提供され、体調の優れないがん患者や、標準治療が無効となったがん患者をサポートしています。

一方、欧米とは異なり、わが国では1000年以上前から漢方治療が行われ、さまざまな病気に苦しむ人々に大きな貢献をしてきました。従来、がんに対する漢方治療の有用性については明らかでありませんでしたが、実際にがん患者に漢方治療を行ってみると、漢方薬ががん患者に対しては驚くべき効果があることがわかりました。

そこで当院が大塚から現在の有明の地に移転した翌年の2006年4月に、総合内科の専門外来のひとつとして「漢方サポート外来」を開設しました。そして2012年4月からは「漢方サポート科」として独立した診療科となりました。現在、水曜日を除く週4日、病院1階の総合内科で診療を行っています。

わが国の医療の歴史の中で、がん専門病院や大学病院の中に開設された、がんに特化した漢方専門外来はこれまでになく、当院の漢方サポート外来は、わが国初めてのがん患者のための漢方外来といえます。

当外来では、がんの治療の副作用や後遺症で苦しむ患者や、現在の標準治療がすべて無効となって余命を告知された患者に対して、漢方を始めとして、効果が期待できるさまざまな「次の一手」を提案しています。

診療内容

漢方サポート外来では、院内各科および他院の医師から紹介された、西洋医学的に治療に難渋する患者を、漢方薬を中心とし、さらに効果の期待できるさまざまな補完療法を駆使して治療しています。当科の役割は患者の主治医となることではなく、外来でできる範囲で、西洋医学と漢方医学の優れた部分の「いいとこ採り」の統合診療を行うことです。したがって、本来の診療科の担当医と併診する形での診療となります。

当科では、初診時に血液検査や簡単な画像検査を行って、客観的に患者の状態を把握した上で、西洋医学的立場から必要なサポートを行います。たとえば痛み、嘔気、下痢、貧血、低栄養状態などに対しては、それぞれ原因を明らかにして、さまざまな方法を駆使して患者の状態を改善します。

漢方診療では、独特の診断方法と治療手段を用います。漢方診断は、視診・聴診・問診・脈診・腹診など、五感に基づく診察に基づいて行います。それによって決定した漢方薬を投与し、その後定期的に受診していただき、服用後の症状の変化や反応を参考にして漢方薬を修正して、全身状態の改善を図ります。

漢方治療は、西洋医学的に現在有効な治療法がない、がん患者の呈するさまざまな症状や病態に効果を発揮します。全身症状として、だるさ、食欲不振、低栄養、冷え、浮腫、不眠、不安などがあり、個別症状として、手術・放射線治療・抗がん剤などの治療によって起きるさまざまな副作用や後遺症として起こる摂食障害、下痢・便秘、口腔乾燥、更年期様症状、手足のしびれ、皮膚や爪の障害、難治性口内炎などがあります。

漢方治療により、多くの患者でこれらの症状が軽快するため、苦痛に満ちた延命ではなく、QOLの高い価値ある延命が可能となります。さらに患者に本来備わっている自然治癒力を引き出す目的で、飲食物・運動・温熱・心の持ち方・信頼できるエビデンスのあるサプリメントなどに関する指導も行っています。それにより、時にはがんが治癒する場合もあります。(図1)

図1 がん医療の現状と当科の診療内容

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