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【がん研セミナー(10月4日)のお知らせ「Impact of Immunopharmacogenomics in Cancer Research」清谷 一馬 博士 (シカゴ大学 医学部)】

2016年09月23日

がん研セミナー(10月4日)のお知らせ

 

演題:Impact of Immunopharmacogenomics in Cancer Research

 

演者:清谷 一馬 博士 (シカゴ大学 医学部)

 

抄録:免疫チェックポイント抗体療法の登場により,がん免疫療法の発展は目覚ましく,免疫療法は外科療法・化学療法・放射線療法と並ぶ治療選択肢として確立された.これらのがん免疫療法は,直接がん細胞を殺すのではなく,患者本人が持つT細胞の活性化を通して効果を発揮すると考えられている.したがって,がん免疫療法の治療効果の予測・個別化にはがん細胞およびT細胞を含む周辺の環境を理解する必要がある.T細胞は,その表面上にT細胞受容体 (T cell receptor: TCR) を発現しており,このTCRを介して,がん細胞を認識し、攻撃する.がん特異的抗原としては、組織特異的抗原(メラニンなど),がん細胞に特異的に発現するタンパク質由来の抗原 (オンコアンチゲン),あるいは,体細胞変異によって生じたアミノ酸置換を含む抗原 (ネオアンチゲン) などがあげられる.様々な抗原を認識するために,T細胞はTCR遺伝子の再構成により,多様性を獲得する.最近までTCRの多様性を網羅的に解析することは技術的に困難であった.しかし,次世代シーケンサー (next-generation sequencer: NGS) によって百万細胞レベルの網羅的なTCRシーケンス法を解析することが可能となった.われわれは独自のTCRシークエンス法とその情報解析パイプラインを確立した.新たにImmunopharmacogenomicsと命名した研究分野を,いくつかの例を用いて紹介したい.抗PD-1抗体療法を受けたメラノーマ患者および肺がん患者のTCR解析を行い,治療効果のあった患者では,抗PD-1抗体療法により,特定のTCRを持つT細胞が増加していることを明らかにした.

また、ネオアンチゲンは、そのがん特異性の高さから,治療のターゲットとして注目されているが、われわれは,exomeシーケンスのデータとHLAタイピングを組み合わせて,ネオアンチゲン予測の解析パイプラインを開発した.膀胱がん患者を用いた解析では,予測されるネオアンチゲン数が多い患者ほど,T細胞のクローナルな増殖が起こっており,予後が良いことを明らかにした.さらに,このパイプラインを応用したネオアンチゲン・オンコアンチゲン特異的T細胞の誘導法,TCR導入T細胞によるがん細胞への細胞傷害作用などを紹介したい.

 

日時:2016年 10月 4日(火) 16:00〜17:00

 

場所:吉田講堂

 

連絡先:野田哲生(5231)

 

*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、

医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。

 

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