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| 染色体の分配過程は、多細胞生物の恒常性を維持するための最も基本的な生命現象です。ところが、細胞分裂のたびに染色体が多くなったり少なくなったりする病的状態があり、こういう細胞では「染色体の不安定性」を伴っているといいます。染色体の不安定性は、多くのがん細胞にみられ、この性質の獲得するとこそが、発がんやがんの悪性化と深く関連していると考えられています。私たちは、染色体不安定病としての「がん」の病因に迫ることを目標に、細胞分裂、とくに染色体の成り立ちとその継承の分子メカニズムを解き明かすことを目指します。 |
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| [図1:染色体の形成と分離。HeLa細胞をカルノア液で固定後、染色体をカバーグラス上に展開した。ギムザ染色。] |
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| 図は染色体が形成されて分配されるまでのクロマチンの変化を経時間的に並べたものです。間期の核はほぼ均質ですが、細胞が分裂期に入るとクロマチンは大きく構造変化を受け、凝縮し、染色体に変換されます。染色体の凝縮は、核膜が崩壊する前の段階、つまり前期、に開始し、そののち、中期に至るまで凝縮が進行します。そのとき同時に、姉妹染色分体(複製した等価の遺伝情報を有する1対のクロマチン)どうしは徐々に解離し、次第にそれぞれの姉妹染色分体を個別のエンティティーとして認識できるようになります。一方で、微小管は紡錘体糸(スピンドル)を形成し、染色体の中央部(セントロメア)につくられる動原体を介して染色体と結合します。すべての染色体において、スピンドルと動原体の結合が完成すると、分裂期は後期へと移り、姉妹染色分体はいっせいに解離し、それぞれがスピンドルによって両極に向かって引っ張られて染色体が分離します。 |
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| 安定した染色体の継承のために、細胞はこれらの過程を滞りなく完遂しなくてはなりません。私たちの部では、以下にあげた課題にフォーカスした研究をおこない、染色体分配の基本原理を突き止めて、がん生物学の発展に寄与したいと考えています。研究手段としては、生化学的手法および高解像度の蛍光顕微鏡を中心においています。特に、細胞分裂はダイナミックな形態変化を伴うプロセスなので、タイムラプス顕微鏡を用いた生きた細胞の観察に力を入れています。 |
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