12月6日(木)午後3時
西野達哉 博士
オックスフォード大学生化学部
Kim Nasmyth研究室ポスドク研究員
「コヒーシン複合体の機能と構造」
コヒーシン複合体は遺伝子複製により生じる姉妹染色分体を接着し、細胞分裂時に染色体を正確に分配するために必須な蛋白質複合体である。この複合体はSmc蛋白質(Smc1、Smc3)と非Smc蛋白質(Scc1、Scc3)より構成され、酵母からヒトまで保存されている。Smc蛋白質はABC型膜トランスポーターと同類のATP加水分解ドメインを有し、ヘテロ二量体を形成する。Scc1はSmc1、Smc3両ATP加水分解ドメインに結合し、細胞分裂期に特異的プロテアーゼにより切断され、これにより姉妹染色分体接着が解除される。近年の研究から、コヒーシン複合体は巨大なリングを形成し、その内側にDNAを内包すると考えられているが、その詳細な機構は不明である。
 我々はコヒーシン複合体の機能と構造を明らかにするため、蛋白質複合体を酵母より精製し、性状決定した。この結果、Smc蛋白質単独ではほとんどATP加水分解活性がなく、Scc1のC末端がSmc1に結合することでATP結合能が上昇し、結果としてATP加水分解活性が上昇した。一方、Smc3はScc1結合の有無にかかわらずATPを結合できるものの、加水分解にはSmc1が必要であった。Smc蛋白質のATP加水分解活性およびScc1はコヒーシン複合体のDNA結合に重要な役割を果たすころから、今回の解析によりコヒーシン複合体の制御機構が明らかになった。また、電子顕微鏡によるコヒーシン複合体の構造解析を行ったのでその結果も合わせて紹介する。