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がん研セミナー(1月21日)のお知らせ「細胞競合によるがん変異細胞の排除効率促進;がんの予防的治療を目指して」丸山 剛 博士(早稲田大学 高等研究所 講師)

2018年12月05日

がん研セミナー(1月21日)のお知らせ

 

演題:細胞競合によるがん変異細胞の排除効率促進;がんの予防的治療を目指して

 

演者:丸山 剛 博士(早稲田大学 高等研究所 講師)

 

抄録:

治療困難ながんに対する画一的な治療がない現状から、糖尿病や膠原病のように、がんを予防するための治療への注目が高まってきている。我々は、上皮細胞層に生じたがん変異細胞を正常細胞が積極的に排除するという細胞競合現象に着目することで、「がん変異細胞ががんとなる前に探し出して撃つ」という、がんの予防的治療法の確立を目指している。

独自に確立した細胞競合現象を指標としたハイスループット・スクリーニングにより、20万化合物の中から細胞競合現象を効率的に促進する化合物群を見出した。同定した化合物の中でもTM121501は変異細胞の排除を強力に促進した。加えて、同化合物をin vivo細胞競合モデルマウスに投与することで、マウス膵管上皮での変異細胞の排除効率の促進に世界で初めて成功した。さらに、TM121501の作用対象を解析したところ、「変異細胞」内の機能未知のキナーゼTM121501-targeting kinase (TMTK)をターゲットとしていた。加えて、TMTKは変異細胞から正常細胞への細胞間シグナルを負に制御することで「正常細胞」の変異細胞に対する排除能を抑制する。すなわち、細胞競合現象を負に制御するTMTKの活性をTM121501が阻害したことで、変異細胞からの正常細胞への細胞間シグナルを亢進したと考える。

これまでこの正常―変異細胞間シグナルの実態は不明であったが、最近我々はこのクロストークに抗原提示関連分子が関わるという知見を得ている。通常免疫プロフェッショナル細胞が用いるとされる細胞間コミュニケーション機構を上皮細胞も利用している可能性を示唆しており、こちらについても議論したい。

 

日時:2019年 1月 21日(月) 18:00〜19:00

 

場所:吉田記念講堂

 

連絡先:八尾良司(内線5455)

 

*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。

 

 

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