がん研セミナーのお知らせ

演題：スプライシング変異による白血病発症機構と標的治療

演者：吉見 昭秀　博士( Senior Research Scientist, Human Oncology and Pathogenesis Program, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, USA)

抄録：近年のがんゲノム解析によりRNAスプライシング因子をコードする遺伝子における変異が白血病をはじめ様々ながんに高頻度にみられることが報告されましたが、これらのスプライシング変異による発がん機構はほとんど解明されていません。私は2015年夏にOmar Abdel-Wahab先生の研究室に留学して以来、スプライシング変異、中でも最も高頻度に遺伝子変異が認められるSRSF2とSF3B1の2因子の異常による白血病発症機構の解明を中心に研究を行い、治療標的化についての検討を行いました。

具体的には、(1) 骨髄系腫瘍におけるSRSF2変異とIDH2変異の協調メカニズムと治療効果の検討（Yoshimi A^*, Lin KT^*, Wiseman DH^*, et al. Nature 2019）、(2) CLLにおけるSF3B1変異によるMYCシグナルの活性化とPP2A活性化剤による選択的治療（Liu Z^*, Yoshimi A^*, et al. 投稿中）、（3）新規CMML異種移植モデルを用いた新しいスプライシング阻害剤の薬効評価の取り組み（Seiler M^*, Yoshimi A^*, Darman R^*, et al. Nat Med 2018; Yoshimi A^*, Balasis ME^*, et al. Blood 2017）について検討し、明らかになったことをご紹介したいと思います。

日時：２０１９年１０月４日（金） １６：００〜１７：００

場所：吉田記念講堂

連絡先：中村卓郎（内線５３９１）

＊外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。