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SIP第3期
統合型ヘルスケアシステムの構築
B-1
がん診療についての
がん診療についての
統合的臨床データベースの
社会実装

研究開発責任者メッセージ

Message

日本国内の医療機関において、電子カルテや部門業務システムが本格的に導入されはじめたのが2000年頃です。
カルテ記載や検査結果が紙から電子データに変わりましたが、日常臨床を通じて蓄積された「情報」を「データ」として利活用し、未来の医療に貢献するためのデータ管理は、医師や事務スタッフの目視による転記作業に支えられてきました。
昨今は、働き手の減少により作業者の確保が困難になっているだけでなく、働き方改革により、人間でなくても実行可能な作業は機械化・自動化すべきタスクに位置づけられることから、医療データを自動的に集積し、利活用しやすい形で格納・管理する医療情報基盤の構築は、喫緊の課題です。

がん研有明病院では、2017年から統合がん臨床データベースの院内開発を開始し、電子カルテや部門業務システムと連携したデータ収集の自動化とテンプレートによるカルテ記載の半自動的な収集に加え、データの構造化を実現するデータベースシステムを構築しました。
その後、2023年にSIP課題「統合型ヘルスケアシステムの構築」テーマB-1「がん診療についての統合的臨床データベースの社会実装」への参画が決定し、がん領域において医療提供・データ蓄積・知識発見・医薬品提供 のサイクルが自律的に循環する基盤を構築するべく、
① 医療現場のデジタル化の推進
② デジタル化によって蓄積したデータの利活用の推進
③ 製薬業界とのコラボレーションによるがん治療に関する知識構築の推進
に資するソリューションやスキームの研究開発と社会実装を開始しました。

グローバル治験が日本を回避するような動きがあるなかで、症例集積力を高め、組み入れ期間を最小化し、製薬業界にとってもメリットがある形で多施設データの利活用を進め、データと資金の両方が自律的に循環する基盤を目指します。
公益財団法⼈がん研究会有明病院 医療情報部副部⻑ 鈴⽊ ⼀洋
公益財団法⼈がん研究会有明病院
医療情報部副部⻑ 鈴⽊ ⼀洋

「B-1 がん診療についての
統合的臨床データベースの
社会実装」について

がん研有明病院では、電子カルテや部門システム等の様々なシステムに分散したがん診療情報を自動的・半自動的に取り込み一元管理する仕組みとして、2017年から「統合がん臨床データベース」の独自開発を行ってきました。
がん研有明病院内 統合がん臨床データーベース イメージ図
がん研有明病院内 統合がん臨床データーベース イメージ図
本データベースによって院内のデータ管理だけでなく、製薬業界との連携により効率的かつ迅速な医薬品開発への応用が期待されることから、内閣府SIP第3期において、中核的ながん専門医療機関との連携を進め、多施設統合がん臨床データベースを構築して、社会実装していくことを目指しています。
当研究が目指す医療情報基盤
当研究が目指す医療情報基盤

SIP(戦略的イノベーション
創造プログラム)とは

内閣府に 設置された総合科学技術・イノベーション会議(CSTI) が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトです。

真に重要な社会的課題や、日本経済再生に寄与できるような世界を先導する課題に取り組んでいます。

各課題を強力にリードするプログラムディレクター(PD)を中心に産学官連携を図り、基礎研究から実用化・事業化、すなわち社会実装までを見据えて一気通貫で研究開発を推進しています。