NEXT-Gankenプログラムは、10年後のがん医療のあるべき姿を見据えて、2020年より5年間にわたり研究本部が推進する研究プログラムです。 これまでにないレベルで研究系と有明病院の緊密な連携を可能とする新たな研究推進体勢を構築し、次世代のがん治療戦略につながる革新的な病態解明を行い、 合わせて次世代のがん研究を担う人材育成を行います。
がんのゲノム研究が網羅的に行われ、次々と新規標的治療薬が開発されている現在、がんの基礎研究と臨床現場が急接近しています。しかし近づけば近づくほど、どんどんわからないことが増え、がんの理解が複雑化しているというのもまた現実です。我々はがんを取り出して、そこからがんを理解するための研究を進めています。しかしがんを生体と切り離して考えることは、がんの本態を見失う大きな原因となります。我々は、がんを生体の中で見つめなおし、細胞社会の構成員として理解し、がんの本態に一歩でも近づくための研究を進めております。そこには、いままでの医学的な見地のみでなく、情報科学や物理学、数学、工学や社会学、論理学などの英知を組み入れていくことも必要です。
NEXT-Gankenプログラムはこれからの時代を担う様々な分野の若手が集い、今までの既成概念にとらわれずに生体をみつめ、がんを理解していく場です。患者さん、医療者、研究者そして社会が一体となって、がんの本態解明を目指す場です。10年後、20年後の医療や社会をイメージしながら、未来の医療を切り開く場として活性化していければと考えております。ご指導ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
NEXT-Gankenプログラム プログラムディレクター
がん研有明病院 乳腺センター長
上野 貴之
本プログラムにおいては、転移・再発がんの病態を明らかにすることを目指します。その際にがんを単なる塊ではなく「多様な細胞の集合体」として捉えます。腫瘍を構成する細胞ひとつひとつの「個性」を理解し、さらには細胞間で交わされる「会話」やそれらが作り出す「社会」の成り立ちを理解することによって、がんの本質に迫りたいと考えています。この研究の基盤となるのが、微量で貴重ながん検体を単一細胞レベルで詳細に解析する技術であり、そのレプリカであるオルガノイドを作製する技術であります。そこで得られるデータやリソースを基盤とし、そこに臨床系・研究系の様々な専門知識や技術を有機的に組み込むことにより、がん研でしか成し得ない唯一無二の研究を遂行できると考えています。
ヒトがん細胞の多様な「個性」をゲノム機能の側面から1細胞レベルで明らかにすることで、がん細胞の個性と多様性のダイナミクスを考慮した新しい治療戦略の創生を目指します。
「がん細胞社会」を構成する各細胞の役割と細胞間で交わされる「会話」の全貌を知ることで、がん細胞社会の成り立ちを理解し、それを制御する治療戦略の考案を目指します。
ヒト個体内の様々な臓器で腫瘍が環境に適応する仕組みをシステムとして理解することで、その特徴と脆弱性を理解し、革新的な治療戦略を導き出すことを目指します。
各プロジェクト推進に鍵となる検体を入手し、先進的技術により網羅的情報を収集します。貴重な検体が有する情報を最大限に活用するためのプラットフォームを構築し、そこから得られるデータやリソースを共有します。
国内の大学や研究機関と協力し、がん患者由来試料を対象とした先進バイオ解析技術の開発に関わる研究を行います。
NEXT-Gankenプログラムでは、この大きな課題に一緒に挑戦してくれる仲間を募集しています。大学院生、研究生として受け入れ可能です。見学等も随時受け付けております。ご興味のある方はぜひご連絡ください。
公益財団法人がん研究会 NEXT-Gankenプログラム
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丸山 玲緒
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