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研究本部
研究本部長メッセージ
研究本部長 大津敦
この度、野田哲生先生の後任として研究本部長に就任しました。がん研究会は日本で最初のがん専門施設として開設され病院と研究所が一体となってがん克服に向け多数の優れた研究を展開してまいりました。2005年に有明に移転後は、研究本部内に「がん研究所」、「がん化学療法センター」、「がんプレシジョン医療研究センター(CPMセンター)」の3部門に組織され、がん克服に向けた本態解明などの基礎研究や予防研究、がん患者さんに速やかに届けるための実用化研究などを展開して先人の先生方が優れた業績を挙げてまいりました。基礎研究では新しいドライバー遺伝子・耐性遺伝子の発見や細胞老化などの発がん研究での成果に加え、実用化研究ではがん化学療法センターオリジナルの医薬品シーズを開発し病院との連携でFirst-in-human試験も開始されています。また、「がんゲノム医療中核拠点」である病院との連携によるゲノム医療・個別化医療の開発研究も多数展開され、2020年からは、研究本部・病院本部の若手研究者を中心とした「NEXT-Gankenプログラム」も開始され、実用化研究の活性化を図っています。
一方で、昨今の検体解析技術や創薬技術の革新的進歩、AI導入などにより、がん研究環境は変革期を迎えています。先端的ゲノム・オミックス解析技術の進歩によって腫瘍組織のみならず周囲微小環境を含め生体内の複雑なメカニズムを徐々に可視化できるようになり、抗体薬物複合体(ADC)、二重鎖抗体など新しいバイオ医薬品を始めとした創薬技術の進歩による治療成績向上も多数報告されるようになりました。「がんを知りがんを制す」はがん研研究本部の変わらないテーマですが、昨今の革新的な進歩により知るべき情報量は飛躍的に増加し、制する方法も多様化しています。最新の情報がアップデートされた中で独創的視点での基礎研究を展開し、得られた成果をいち早く患者さんに届けられるよう、研究本部内の各部門間の連携はもとより、病院との密な連携と情報交換、国際的視点でのアカデミア機関や企業との連携を迅速に進めてまいります。関係の皆様のご指導、ご支援を心よりお願い申し上げます。
研究本部 副本部長メッセージ
研究本部 副本部長 藤田直也
この度、4月1日付けで研究本部の副本部長に就任しました。がん化学療法センター所長としての立場は従前通りとなりますので、これからはがん化学療法センターの運営だけでなく、がん研究所・がんプレシジョン医療研究センター・NEXT-Gankenプログラムといった研究本部の各部署にも目を配りながら、大津敦 本部長とともに研究本部全体の運営と活性化に携わっていきたいと考えております。
研究本部では、ゲノム解析やゲノム構造異常解析、薬剤耐性化機構の解明、そして老化を通じた発がんメカニズムの解析などの基礎研究で大きな業績を挙げています。また、実用化に向けた橋渡し研究では、病院本部との連携によるヒト臨床検体を用いた検証や、新たな医薬品候補品の開発などが進められています。昨今、がん研究の分野では、新たな標的遺伝子・分子の発見という基礎研究成果だけではなく、標的遺伝子・分子を狙った阻害剤を用いての標的としての有用性の検証までもが求められるようになってきています。こうした状況下において、基礎研究から医療応用を目指す橋渡し研究、さらには診療上の問題点などを基礎研究へと還元していく逆橋渡し研究が実践できる体制が整っているがん研究会は、現在求められているがん研究を遂行するのに最適な環境を備えた組織と言えます。実際、がんの基礎研究から応用研究までを学ぶべく、連携大学院制度などを利用した大学院生などが多く集っており、こうした大学院生などの研究指導を通じて、次世代のがん研究者の育成・輩出にも貢献しています。
近年、がん研究は日進月歩で発展しており、上述の基礎から臨床応用までの実験的検証にとどまらず、がん周囲の微小環境を含めた多面的な手法によるがん本態の解明や創薬モダリティーの多様化に基づく標的遺伝子・分子を阻害する多種多様な候補物質を用いた検証など、求められる研究サイズが大型化しつつあります。がん研究会としても、大学や国立研究開発法人などのアカデミアや企業との協業を通じ、がん克服を目指した研究活動をより多様化・先鋭化していくことが必要となってきております。効率的な大型研究の推進に向けて、外部連携にもより一層取り組んでいく所存です。
がん研究会の基本理念である「がん克服をもって人類の福祉に貢献する」を旗印に、がんの基礎研究・応用研究に今後も邁進して参りますので、皆様のご指導・ご支援をよろしくお願いいたします。