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希少がんのひとつ芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍において,細胞形態,MYCの異常,および薬剤感受性の関連を発見

がん研究所分子標的病理プロジェクト(坂本佳奈特任研究員,竹内賢吾プロジェクトリーダーら),病理部(竹内賢吾部長ら),および,がん化学療法センター基礎研究部(片山量平部長ら)の研究グループは,極めて稀ながんである芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm, BPDCN)を全国52機関との連携のもと118例収集し(世界最大規模),その病態と治療反応性に関する新事実を発見しました.

BPDCNは,皮膚に好発する稀で予後不良な造血器腫瘍(血液のがん)で高齢者に多く見られますが,小児を含めた幅広い年齢層で発症します.初期には化学療法に反応しますが再発率が高く,病態の正確な理解や有効な治療法の開発が求められています.今回の発見は,予後不良で稀なBPDCNに対するプレシジョン医療につながることが期待されます.

主な新知見

  • 組織病理学的な解析により,BPDCNが細胞形態により2群に分かれることを明らかにした.
  • 分子病理学的な解析により,がん遺伝子MYC(ミック)異常(再構成と発現異常)が,約1/3のBPDCNに存在することを発見した.
  • 細胞形態の群わけとMYC異常の有無が極めて強く相関することを見いだし,特異な細胞像を呈するMYC異常群(MYC陽性BPDCN.約1/3)と,通常の細胞像を呈するMYC正常群(MYC陰性BPDCN.約2/3)の2群にBPDCNを層別化することを提唱した.
  • MYC陽性BPDCNとMYC陰性BPDCNの病態のちがい(予後,皮膚病変の形など)を示した.
  • 細胞株を用いた実験により,MYCを抑制する薬剤に対するMYC陽性BPDCNとMYC陰性BPDCNの感受性の違いを明らかにした.すなわち,MYC異常と細胞形態が,BPDCN治療におけるバイオマーカーとなる可能性を示唆した.

Recurrent 8q24 rearrangement in blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm: association with immunoblastoid cytomorphology, MYC expression, and drug response. Sakamoto K, Katayama R, Asaka R, Sakata S, Baba S, Nakasone H, Koike S, Tsuyama N, Dobashi A, Sasaki M, Ichinohasama R, Takakuwa E, Yamazaki R, Takizawa J, Maeda T, Narita M, Izutsu K, Kanda Y, Ohshima K, Takeuchi K. Leukemia. 2018 May 23. doi: 10.1038/s41375-018-0154-5.

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