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【がん研セミナー/ 第11回臨床研究セミナー(7月3日)のお知らせ「遺伝性疾患のゲノム解析―1000ドルゲノム時代を迎えてー」松本 直通 博士(横浜市立大学大学院医学研究科)】
2014年06月17日
がん研セミナー/ 第11回臨床研究セミナーのお知らせ
演題:遺伝性疾患のゲノム解析―1000ドルゲノム時代を迎えてー
演者:松本 直通 博士(横浜市立大学大学院医学研究科)
日時:2014年 7月3日(木)18:30-19:30
場所:吉田講堂
連絡先:野田哲生(内線5231)
抄録:
2005年に次世代シーケンサー(NGS)が登場し10年が経過した。2010年にはNGSを用いて初めて遺伝性疾患の原因が明らかにされた(Miller症候群やCharcot-Marie-Tooth病など)。以来NGSを用いたメンデル遺伝性疾患の原因解明が次々と行われ、全エクソームシーケンス(Whole Exome Sequencing, WES)や全ゲノムシーケンス(Whole Genome Sequencing, WGS)は原因不明の遺伝性疾患の原因解明のための第一選択技術となった。特にメンデル遺伝性疾患の原因遺伝子は、数年以内にすべて明らかにされるであろうという楽観的な予測も出始めている。さらに2014年は、1000ドルゲノムシーケンスプロジェクトの達成目標である「1000ドルでヒト全ゲノムをシーケンスできること」のターゲット・イヤーであり、1000ドルゲノムが達成可能な機器も登場した。
我々は、2009年よりWESを開始、これまでに4300サンプルを超えるWESを行ってきた。この中で多数のメンデル遺伝病の原因を明らかにしてきた。責任遺伝子単離が可能であった疾患群は、同じ遺伝子の変異による複数の症例が得られる場合が多い。単一家系・単一症例では、既知遺伝子の変異が原因でない場合、新規遺伝子の変異が原因であると結論付けることは、かなり難しい。またWES解析研究を進める過程で、Genetic Heterogeneity(異なる遺伝子の異常が同じ疾患を起こす状態)やAllelic Heterogeneity(同じ遺伝子の異なる変異が異なる疾患を起こす状態)が想定を超えて存在していることが解ってきた。本講演では、遺伝性疾患の解明においてNGS解析がもたらしたインパクトを紹介し、1000ドルゲノム時代のメディカルゲノム解析を考えていく機会としたい。
※本セミナーは臨床研究セミナーと共同で開催いたします。
*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であ
り、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。