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研究内容

研究内容目次

  1. 蛍光イメージングの治療効果を予測するバイオマーカーの探索への応用
    蛍光イメージングの造血器腫瘍診断への応用 (蛍光3D血球アトラス)
  2. 標的分子の遺伝子変異解析と分子標的薬剤の効果予測
  3. 固型がんにおける末梢循環がん細胞、末梢循環内皮細胞の意義
  4. 多発性骨髄細胞株におけるBortezomib耐性機序の解明
  5. がん化学療法におけるバイオマーカー研究
  6. 泌尿器科がんにおける発がんの解明とそれに基づいたあたらしいバイオマーカーの発見および分子標的治療法の開発

標的分子の遺伝子変異解析と分子標的薬剤の効果予測

照井康仁 (血液担当部長)

血液腫瘍、乳腺腫瘍、転移性骨腫瘍・原発不明がんおよび消化器腫瘍における標的分子の遺伝子変異解析を行い、分子標的薬剤の効果予測をおこない、臨床に応用することを目的としています。

近年、分子標的薬剤の開発、臨床応用の進歩は著しく、細胞表面抗原、細胞内シグナル伝達分子群に対する薬剤の臨床効果は、従来型の抗がん剤を凌駕しています。しかしながら、分子標的薬剤の経済性、有害事象、耐性の観点から、治療前、治療中の効果予測が可能なら、薬剤の適応や中止、変更が適切に行なわれることが大いに望まれるところであります。

分子標的薬剤における薬効に関する標的分子の遺伝子変異の関連についてはいくつかの報告があります。肺がんにおけるチロシンキナーゼ阻害剤であるイレッサでは、EGFRやK-RASの変異が効果に関与していることが知られています。また、慢性骨髄性白血病のbcr-ablまたは消化管間葉系腫瘍(GIST)のc-KITに対するチロシンキナーゼ阻害剤イマチニブでは、bcr-ablのATP結合部位からループ領域における変異によるイマチニブ耐性やc-KITのエクソン11の変異によるイマチニブ高感受性が報告されています。しかしながら、数限られた標的分子の異常だけでは、高感受性、耐性の本質を解き明かすことは困難です。

そこで、各種分子標的薬剤に対する高感受性および耐性に関する標的分子のみならず、周辺の分子群に広げて網羅的に分子変異を解析することが重要であると考えられます。

このプロジェクトの中で、最近、我々は、B細胞性リンパ腫の抗体医薬であるリツキシマブの標的分子、CD20分子の変異体を世界で初めて発見しました。この変異体は一塩基挿入によるフレームシフトのためにC末端側の細胞質内領域を欠損したもので、この欠損により細胞膜上のCD20分子の発現が消失、減弱し、リツキシマブ耐性が生じることが判明しました(Terui Y et al. Identification of CD20 C-Terminal Deletion Mutations Associated with Loss of CD20 Expression in Non-Hodgkin’s Lymphoma. Clin Cancer Res 15(7), 2523-2530, 2009)。

このように、分子標的薬剤と感受性、耐性における標的分子の異常を網羅的に発見し、その克服法を開発することで、患者さんの恩恵に少しでも寄与できることを願っています。

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