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【ニュースリリース】RhoGAP融合遺伝子陽性早期胃がんは 高いリンパ節転移陽性率と特徴的組織像を示す

2024年06月19日

【ポイント】
・従来の胃がん病理分類では抽出が困難であった、Rho GTPase activating protein(RhoGAP)に関連するゲノム異常を示す融合遺伝子陽性胃がん(RhoGAP胃がん)を対象とし、組織アレイ(tissue microarray、 TMA)とfluorescence in situ hybridization (FISH) を用いた多数例に対する効率的な融合遺伝子の拾い上げにより、早期におけるRhoGAP胃がんの臨床病理学的特徴を明らかにしました。
・RhoGAP早期胃がんは若年女性に有意に多く、リンパ節転移の頻度が高い予後の悪いがんという臨床的特徴ももちます。また、病理組織学的には、「Microtubular-mucocellular (MTMC) 」と名付けた特徴的な組織像を粘膜内領域にもつことが多いことがわかりました。
・FISH法による確定が必要ながんを、病理組織学的特徴から拾い上げることが期待できるので、RhoGAP胃がんを効率的に診断することが期待されます。さらに、早期RhoGAP胃がんの診断により、早期胃がんの新たな治療方針決定アルゴリズムの確立、胃がん診療の発展が期待できます。

【概要】
公益財団法人がん研究会 がん研究所 病理部の河内洋診断病理学担当部長を中心とする研究グループは、878例という大規模な早期胃がん症例に対して、FISH法を用いたRhoGAP融合遺伝子陽性の胃がんの検索を行い、その臨床病理学的特徴を明らかにしました。既報ではRhoGAP胃がんは、若年女性に多く、リンパ節転移率の高い予後の悪いがんと報告されていました。今回の検討では早期胃がんにおいても、若年女性に多くリンパ管侵襲やリンパ節転移の頻度が高い一方で、静脈侵襲の頻度は低いがんであることがわかりました。また、多変量解析を行うとRhoGAP胃がんはリンパ節転移に対して最も高いオッズ比を示す独立因子となりました。さらに、融合遺伝子陽性胃がんの組織学的検討にて、微小腺管構造と粘液細胞が混じり合う特徴的な組織パターン(”microtubular-mucocellular (MTMC) pattern”と名付けました)を示す傾向があることを見いだしました。今後、この悪性度が高いRhoGAP胃がんという疾患群を組織学的にも拾い上げを行うことで、胃がん診療において新たな疾患概念を確立することが期待されます。本研究の成果は2024年5月17日にGastric Cancer誌において、印刷版に先立ちオンライン版として公開されました。

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