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がん研先端研究セミナー(7月29日)のお知らせ

2024年06月21日

演題:転写伸長因子Spt4によるrDNAの安定性を介した細胞老化誘導機構の解析

 

演者:横山 正明 博士研究員(金沢大学 がん進展制御研究所)

 

抄録:ヒトが老化する原因の一つに細胞老化が挙げられるが、未だ解明されていない点が多い。したがって、細胞老化機構を解明することで、ヒトの老化を予防する足掛かりになることが期待されている。出芽酵母は、ヒト細胞と同様に老化現象が観察され、簡便に操作できることから細胞老化の分子機構を解明するモデル生物として広く利用されている。出芽酵母の寿命(一つの母細胞が一生の間に分裂する回数)に大きな影響を与える原因として、リボソームRNA遺伝子(rDNA)領域の安定性が挙げられる。出芽酵母のrDNA領域は、rDNA配列が繰り返し並んだ巨大な反復遺伝子領域であり、rDNA配列の数が増減しやすい不安定なゲノム領域である。また、rDNA領域の安定性は、出芽酵母の寿命に大きな影響を及ぼす一方で、その詳細な分子メカニズムは未だ解明されていない。本発表では、寿命が延長する遺伝子欠損株の中からrDNA領域の安定性を変化させる遺伝子を探索し、その欠損株を網羅的に解析することによって、rDNA領域の安定性を介した寿命制御機構の解明を目指した。その結果、転写伸長因子SPT4が欠損した株ではrDNA領域の顕著な安定化が確認された。更に、その表現型を示す原因を探索したところ、SPT4はrDNA配列の数の変化に影響を与える非コードプロモーター(E-pro)からの転写制御に作用することが判明した。加えて、加齢と共に Spt4 の発現量が増加することで、E-pro の転写活性がより増強され、細胞老化を促進することが判明した。 本発表では、Spt4によるrDNA領域の不安定化を介した細胞老化誘導機構について議論したい。また最後に、現在および今後の活動内容を報告する。

 

日時:2024年7月29日(月)14:00 〜 15:00

場所:研究所3階 332号室

 

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