がん研セミナー(10月9日)のお知らせ
2025年10月01日
演題:オミクス・機械学習・画像解析の統合が拓く
腫瘍生物学の理解と臨床展開
演者:鎌谷 高志 博士
(東京科学大学 M&Dデータ科学センター 講師)
抄録:
近年、オミクスデータと医療画像の高解像化により、多様かつ巨大な医療データが蓄積し、単一手法では解釈困難な課題が顕在化している。本講演では、医学的知見を基盤に、オミクス・機械学習/統計・画像解析を統合し、腫瘍生物学の理解深化と臨床応用の加速を目指した取り組みを紹介する。
基礎においては、免疫チェックポイント阻害薬治療下で抵抗性を示す症例に対し、マルチオミクスデータを統合し、抵抗性に関与するサブクローンの特性を同定した。その結果、治療選択圧によりサブクローン特異的な免疫抑制ニッチが形成されることを示し、クローン動態を踏まえたサブクローン指向治療の必要性を提起した(Kamataniら, Nat Commun, 2025)。
臨床においては、包括的ゲノムプロファイリングで頻出するVUSの解釈を支援するため、インシリコ予測と患者背景情報を統合した病原性スコア「MARiO」を開発した。現在、モデル改良と外部検証、産学連携による実装準備を進めている(特願2025-035480)。
今後は、治療選択圧に伴うサブクローン進化と腫瘍微小環境構造変化を定量化する手法を開発し、創薬標的とバイオマーカー探索を推進する。
日 時:2025年 10月 9日(木) 10:45〜11:35
場 所:吉田記念講堂