がん研セミナー(7月29日)のお知らせ
2026年06月02日
演題: T細胞疲弊を制御するSOCS1・NR4A経路と固形がんCAR-T療法への応用
演者: 吉村 昭彦 博士
(東京理科大学 生命医科学研究所 大学院生命科学研究科 分子病態学部門・教授)
抄録:
免疫チェックポイント阻害療法やCAR-T療法はがん治療を大きく変えたが、低応答性、再発、高齢患者での効果低下、固形がんへの有効性不足がなお課題である。近年のscRNA-seq解析等から、その背景にT細胞疲弊の進行と幹細胞様メモリーT細胞の減少があることが明らかになってきた。我々はこれまで、サイトカインシグナル抑制因子SOCS1がT細胞応答を制御し、抗腫瘍T細胞機能にも影響することを示してきた。さらに、T細胞の免疫寛容と疲弊を制御する核内受容体NR4Aファミリーを同定し、NR4AがPD-1、TIM-3などの抑制性受容体を誘導するとともに、AP-1やNF-κB活性を抑制してエフェクター機能を低下させることを明らかにした(Nature 2019; 567: 530-4)。CD8 T細胞特異的NR4a欠損マウスでは腫瘍排除能が増強し、TCF1陽性の幹細胞様メモリー状態へのリプログラムも示唆された(Cell Rep. 2023; 42(8): 112940)。ヒトCAR-T細胞でもNR4A1/2/3欠損により、疲弊の低下、幹細胞様メモリー細胞の増加、ミトコンドリア代謝の亢進、固形がんに対する抗腫瘍活性の増強が認められた(J. Immunother Cancer. 2024; 12(8): e00866)。本講演では、SOCS1とNR4Aを中心に、T細胞機能不全の分子基盤と次世代CAR-T療法開発の可能性を紹介する。
日 時:2026年 7月 29日(水) 17:00〜18:00
場 所:吉田記念講堂







