新着情報

印刷

  • HOME
  • 新着情報
  • 【がん研セミナー(6月16日)のお知らせ「実験・臨床データから導く数理モデル研究膵がん進展モデルを例に」波江野洋先生(九州大学大学院 理学研究院 数理生物学研究室 助教)】

新着情報

【がん研セミナー(6月16日)のお知らせ「実験・臨床データから導く数理モデル研究膵がん進展モデルを例に」波江野洋先生(九州大学大学院 理学研究院 数理生物学研究室 助教)】

2017年06月01日

がん研セミナー(6月16日)のお知らせ

 

演題:実験・臨床データから導く数理モデル研究膵がん進展モデルを例に

 

演者:波江野 洋 先生(九州大学大学院 理学研究院 数理生物学研究室 助教)

 

抄録:

組織の中で突然変異が蓄積していく確率的な過程を数理モデルで表し、その原理・原則を見いだそうとする研究が2000年代から急速に発展してきた。数理モデルを用いる利点としては、(i) 現実には50年から60年かかるがん発症の過程をコンピュータ上で数秒から数時間という短い時間で試行することが出来る、(ii) 細胞増殖率、突然変異率などの条件を変化させて、その影響を簡単に調べられる、(iii) 現実のデータをうまく表す数理モデルを構築できれば、その後のがんの動態を予測することに利用出来る、などが挙げられる。私はこれまでに数理解析とコンピュータシミュレーションを用いて、がん細胞が発生・進展する過程から、転移を起こす過程、投薬の中で薬剤耐性を獲得する過程まで、がんの一生を数理学的に理解することを目指して研究してきた。本講演では、臨床データを用いた膵臓癌進展の数理モデル研究を紹介する[1,2]。

膵臓癌はその高い浸潤能、転移能のため固形がん最大の難治がんであり、5年生存率が5%程度と予後が極めて不良である。近年のゲノム研究では、p16,p53,smad4遺伝子の変異が遠隔転移能の獲得に関連するとされており、外科的切除時に変異している遺伝子数と生存予後との相関が報告されている。今回、これらの遺伝子変異を獲得しながらがんが進展する様子を出生死亡過程によるシミュレーションで再現することを試み、実際の臨床データとの比較から数理モデルの検証を行った。検証を行ったモデルを用いて、症例の遺伝子変異の特性に対応した最適な治療法を提案する。

[1] Haeno et al. Computational modeling of pancreatic cancer reveals kinetics of metastasis suggesting optimum treatment strategies. Cell 2012

[2] Yamamoto et al. Personalized Management of Pancreatic Ductal Adenocarcinoma Patients Through Computational Modeling. Cancer Res. in press

 

 

日時:2017年 6月 16日(金) 18:00〜19:00

 

場所:吉田講堂

 

連絡先:野田 哲生 (内線5231)

 

 

*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。

 

このページのTOPへ