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がん研セミナー(1月23日)のお知らせ

2024年12月12日

演題: p53はCDK4/6阻害剤誘導geroconversionを介して乳がんの長期的な病勢コントロールを可能にする

 

演者: 工藤 麗 博士

   (国立研究開発法人国立がん研究センター研究所 がんRNA研究分野 特任研究員)

 

抄録:

 ER陽性・HER2陰性乳がん(ER+/HER2-)の治療において重要な役割を担うCDK4/6阻害剤だが、病勢コントロール期間は、数ヶ月から5年以上とばらつきがあり、臨床上の問題点であった。

 ER+/HER2-転移乳がんに対して一次治療でCDK4/6阻害剤を用いた467例の解析により、耐性に寄与する因子としてTP53変異を同定した。p53欠損細胞ではG1細胞周期停止などの初期効果は認めるものの、その後細胞周期に戻っており、geroconversionを起こさず細胞老化を回避し、長期的には再増殖をきたした。

 臨床データでは、Neoadjuvant、FELINE試験の検体でも、これらの現象が確認された。またTempus AIからの2,820人のリアルワールドデータにおいても、TP53変異がPFSの短縮に寄与していることが示された。

 TP53のCDK4/6阻害剤耐性に関しては、CDK2阻害剤を追加することで克服できることが明らかとなった。CDK4/6阻害剤の投与対象となる患者の約3割がTP53変異を持つことを考慮すると臨床試験での更なる解析が望まれる。 

 Kudo et al., Cancer Cell, 42(11), 1919-1935, 2024

 

日 時:2025年1月23日(木) 16:00〜17:00

場 所:吉田記念講堂

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