【第48回がん研先端研究セミナー(2月16日)のお知らせ「プロリン異性化酵素Pin1によるリン酸化蛋白質を介した新規生理機能解析」清水 泰希 氏(東北大学農学研究科 応用生命科学専攻 博士課程後期3年)】
2018年02月08日
第48回がん研先端研究セミナー(2月16日)のお知らせ
演題:プロリン異性化酵素Pin1によるリン酸化蛋白質を介した新規生理機能解析
演者:清水 泰希 氏(東北大学農学研究科 応用生命科学専攻 博士課程後期3年)
抄録:生体内では常に蛋白質の機能制御を介したシグナル伝達が行われており、様々な要因に対して迅速かつ的確に応答できるようになっている。異性化酵素Pin1はリン酸化されたセリン/スレオニンに続くプロリンを特異的に認識し異性化を触媒する唯一の酵素であり、リン酸化シグナルによる蛋白質の機能制御を迅速に行う役割を担っている。従って、Pin1の異常はシグナル経路の異常に繋がっており、癌やアルツハイマー病など様々な疾患との関わりも報告されてきた。
化学療法による癌治療では、癌の薬剤耐性がしばし問題とされてきた。Pin1は抗癌剤などによるDNA損傷に対しp53を介してアポトーシスを誘導する(=薬剤感受性を高めている)ことが報告されてきたが、実際の癌細胞ではp53が不活性化していることが多い。そこで我々はPin1 p53 double knockout miceを作製し、Pin1がp53非依存的に薬剤感受性を高めていることを明らかにした。本講演ではそのメカニズムについて薬剤排出ポンプであるP糖蛋白質に焦点を当てて報告する。
また、我々はPin1 knockout miceの解析によってPin1が血小板産生機構に関与している事も明らかにしており、この血小板産生機構に着目したPin1による微小管制御の研究についても紹介したいと思う。
日時:2018年2月16日(金) 14:00〜15:00
場所:研究所 332号室
連絡先:高橋 暁子(5351)
*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。