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学会情報

第101回日本病理学会総会における宿題報告について

2012年04月06日

公益財団法人がん研究会(東京都江東区 理事長:草刈隆郎)は、基本理念「がん克服をもって人類の福祉に貢献する」に基づき、がん研究所とがん研有明病院を両輪として次世代のがん医療の創造に努めております。

 その活動の一環として、4月26日から東京都新宿区で開催される、「第101回日本病理学会総会」において下記の通り宿題報告をいたしますので、ご案内申し上げます。

 

 

【宿題報告概要】

  1. 日 時:2012年4月27日(金)13時20分〜14時30分
  2. 場 所:京王プラザホテル(東京都新宿区)本館5階 コンコードABC
  3. 題 目:白血病と骨軟部腫瘍の発生機構:遺伝子変異とそのネットワーク、発生起源の理解に向けて  
  4. 報告者:中村卓郎(がん研究会 がん研究所 発がん研究部長)

 

【報告内容ダイジェスト】

 がんの発生機構の研究を通して、個体の維持や組織形成の仕組みについて有用な情報が得られてきました。白血病と骨軟部腫瘍を対象に、ヒト症例の解析と動物モデルを用いた実験系を利用することで、がんの発生における分子異常と発生母地の関係を研究してきました。今回の発表は、これまでの研究内容のまとめに、ユーイング肉腫の発生母地の解明を初めとする最新の研究成果を加えたものとなっています。

  1. 白血病におけるHoxa9とMeis1の機能
    ホメオボックス遺伝子Hoxa9の過剰発現は、急性骨髄性白血病(AML)の予後不良因子として重要ですが、この異常のみでは白血病発症には不十分です。Hoxa9と造血幹細胞維持に重要なMeis1遺伝子との協調作用が必要なことを見出し、その機能的意義について明らかにしてきました(1996〜現在進行中)。また、この研究を通して、ヒトAML症例からNUP98-HOXA9を初めとするキメラ遺伝子を同定しました(1996〜2003)。
  2. 新たな白血病原因遺伝子Trib1について
    白血病モデルマウスの実験から、Hoxa9/Meis1と特異的協調作用を示すTrib1遺伝子を同定しました(2008)。Trib1の機能を明らかにする(2010〜現在進行中)とともに、ヒトダウン症候群関連白血病においてTRIB1の機能獲得性変異を同定しました(2012)。
  3. 骨軟部腫瘍における新規キメラ遺伝子の同定
    骨軟部腫瘍の発生原因として、染色体転座に基づくキメラ遺伝子が、重要です。我々は、新規原因遺伝子としてCIC-DUX4(2006)及びEWS-POU5F1(2008)を同定し機能を解析しました。これらのキメラを有する腫瘍が新しい疾患概念として確立されようとしています。
  4. 骨軟部腫瘍の新しい動物モデル
    マウス胎児から間葉系前駆細胞を濃縮し、EWS-FLI1キメラ遺伝子を導入してヌードマウスに移植することにより、ユーイング肉腫のモデルを作製しました。この研究から、肉腫発生にはキメラ遺伝子の機能と発生母地細胞との特異的相互作用が重要であることが明らかになりました(現在進行中)。 

【学会開催概要】 第101回 日本病理学会総会

  1. 会 期:2012年4月26日(木)〜28日(土)
  2. 会 場:京王プラザホテル

参考URL:http://www.gakkai.co.jp/jsp101/

 

以上

 

≪本件に関するお問い合わせ先≫

公益財団法人がん研究会 広報部 本山有里

Tel: 03-3570-0397

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