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【がん研セミナー(12月14日)のお知らせ「Meis1標的遺伝子による白血病幹細胞の制御機構」岩崎 正幸 博士(東京女子医科大学 実験動物研究所 先端生命医学専攻疾患モデル研究分野)】

2018年11月22日

がん研セミナー(12月14日)のお知らせ

 

演題:Meis1標的遺伝子による白血病幹細胞の制御機構

 

演者:岩崎 正幸 博士(東京女子医科大学 実験動物研究所  先端生命医学専攻疾患モデル研究分野)

 

抄録:

白血病幹細胞は白血病の起源となる細胞であり、高い治療抵抗性をもつため、再発や転移の原因である。近年、血病の根治にはこの白血病幹細胞を標的にすることが重要であると考えられている。Meis1はMLL (Mixed lineage leukemia) 遺伝子再構成陽性白血病(MLL白血病)などのHOX関連白血病の発症に重要であるが、そのメカニズムは不明な点が多い。

我々はMLL白血病マウスモデルにおいてMeis1の発現レベルが白血病の発症期間に大きく関与していること、さらにMeis1の過剰発現は白血病幹細胞の頻度を著しく増加させることを見出し、白血病幹細胞におけるMeis1の重要性を初めて明らかにした(Genes & Development 2007)。MLL融合遺伝子の標的遺伝子であるHoxA9とMeis1によって誘導されるマウスの急性骨髄性白血病細胞を用いて、さまざまな細胞分画を純化し限界希釈法による移植実験を行い、白血病幹細胞が濃縮される細胞分画を同定した。この細胞分画細胞を用いて遺伝子発現プロファイリング解析を行い、白血病幹細胞特異的に発現している遺伝子としてCD93と15-Pgdhを同定した。これらの遺伝子はMeis1により誘導されることを確認している。我々はCD93が難治性MLL白血病の白血病幹細胞特異的な細胞表面抗原として有用であるとともに、白血病幹細胞の維持にも必須であることを明らかにした(Cell Stem Cell 2015)。

一方、15-Pgdh (15-hydroxyprostaglandin dehydrogenase)は大腸がんなど固形腫瘍において、がん抑制因子として報告されているが、我々はHox 関連白血病において15-Pgdh は発がん促進因子として働いていること、さらに白血病の発症に必須であり、白血病幹細胞の自己複製能を制御していることを明らかにした。

これらの結果から、CD93と15-Pgdhを標的とした白血病幹細胞根絶のための新規治療法の開発が期待される。

 

日時:2018年 12月 14日(金) 16:00〜17:00

 

場所:吉田記念講堂

 

連絡先:中村卓郎(内線5391)

 

*外部の研究者のご来聴を歓迎いたします。尚、本セミナーの内容は専門的であり、医学・生物分野の研究に携わる方を対象としております。

 

 

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