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がん研セミナー(6月18日)のお知らせ
2024年06月10日
演題:分野横断的な医学研究を目指して
演者:鎌谷 高志 博士(東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター 講師)
抄録:
近年、シーケンスコストの低下により大量のオミクスデータが生成され、深層学習技術の普及によって医療画像データが蓄積されることにより、医療データが急増している。これらのデータ解析を医学に応用するためには、医学や情報学などの分野を横断する知識が必要となる。私は医学のバックグラウンドを持ち、オミクス解析、AI解析、統計解析の技術を活かして、医学、情報学、生物学、工学など、さまざまな専門家と協力して研究を行っている。本講演では、これらの分野横断的な研究について紹介する。抄録ではその一部を説明する。ここ数年で保険収載された遺伝子パネル検査は、患者に新たな治療選択肢を提供するが、複数の変異から病原性のある変異を同定するのは困難である。そこで、我々は複数のin silicoの変異病原性予測ソフトの遺伝子パネル検査における有用性を評価し、それらを組み合わせた新しい病原性予測スコアを開発した。今後、この予測スコアをゲノム中核拠点や拠点病院に広めることを目指している。また、工学とAI・統計学を組み合わせた研究については、我々はライブセルイメージングデータを用いて、AIモデルと統計モデルを融合した画像定量化手法を開発した。この手法により、リアルタイムでの細胞動態解析や細胞殺傷率の評価が可能となり、癌の進展や治療反応のリアルタイム評価にも応用できる。これらの研究は、より精密で個別化された医療を実現するための新たな手法であると考えている。今後も多分野の専門家の先生方との連携を深め、さらなる研究の発展に努めてゆきたい。
日時:2024年6月18日(火) 17:00〜18:00
場所:吉田記念講堂