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【ニュースリリース】がん抑制の分子メカニズム解明に新局面 〜ゲノム異常の原因解明に期待〜
2024年07月24日
本会がんプレシジョン医療研究センターがんオーダーメイド医療開発プロジェクト プロジェクトリーダー 植田幸嗣が参加している共同研究成果が2024年6月21日(金)公開のLife Science Alliance誌に掲載されました。本件に関するプレスリリースをおこないましたので、その内容を以下に示します。
ポイント
・がん抑制タンパク質p53の有無によりDNA複製期ヒストンH3.1の動態が異なることを発見。
・ヒストンH3.1は核脂質フォスファチジン酸と結合することで核膜に係留されることを発見。
・核膜に係留されたH3.1が通常とは異なる化学修飾を受けるメカニズムを解明。
概要
北海道大学大学院医学研究院の及川 司講師、佐邊壽孝名誉教授(同大学遺伝子病制御研究所客員教授)、東京医科歯科大学の佐々木雄彦教授、公益財団法人がん研究会がんプレシジョン医療研究センターの植田幸嗣プロジェクトリーダーらの研究グループは、細胞核内におけるヒストンと呼ばれるタンパク質の動態が、がん抑制タンパク質p53*1により制御されることを発見しました。
p53は代表的ながん抑制タンパク質で、正常な細胞ががん化することを抑制する重要な機能を担っています。一方、p53が担う機能には多様性があり、がん抑制に寄与する未知の働きがあると考えられています。
生理的な細胞分化やがんなどの病的状態では、それぞれの細胞のDNAの読み取られ方、すなわち遺伝子発現状態が大きく変化します。DNAが巻き付くヒストンには様々な化学的な「印」が付けられ(化学修飾)、この印に応じてDNAの読み取られやすさが変化しますが、ヒストンが細胞質から核内へ適切に運ばれ、分布し、細胞の状況に応じた化学修飾を受ける仕組みには不明点が多く残されています。
今回、研究グループはp53欠失に伴い、ある種のヒストンの細胞核内における分布と化学修飾が異常になることを発見し、その詳しい分子メカニズムを明らかにしました。
今回の研究で明らかにしたことは、がんで見られる遺伝子発現異常の原因の一つである可能性があり、さらに研究を進めることで新しいがん治療戦略の開発につながることが期待されます。
なお、本研究成果は、2024年6月21日(金)公開のLife Science Alliance誌に掲載されました。

正常乳腺上皮細胞株HMLEの核におけるメチル化ヒストンの分布を超解像顕微鏡で観察したもの。対照(Scr RNAi)に比べ、p53発現抑制(p53 RNAi)によりメチル化ヒストンの分布が核膜近傍に濃縮する。
スケールバー23は10 μm。
ポイント
・がん抑制タンパク質p53の有無によりDNA複製期ヒストンH3.1の動態が異なることを発見。
・ヒストンH3.1は核脂質フォスファチジン酸と結合することで核膜に係留されることを発見。
・核膜に係留されたH3.1が通常とは異なる化学修飾を受けるメカニズムを解明。
概要
北海道大学大学院医学研究院の及川 司講師、佐邊壽孝名誉教授(同大学遺伝子病制御研究所客員教授)、東京医科歯科大学の佐々木雄彦教授、公益財団法人がん研究会がんプレシジョン医療研究センターの植田幸嗣プロジェクトリーダーらの研究グループは、細胞核内におけるヒストンと呼ばれるタンパク質の動態が、がん抑制タンパク質p53*1により制御されることを発見しました。
p53は代表的ながん抑制タンパク質で、正常な細胞ががん化することを抑制する重要な機能を担っています。一方、p53が担う機能には多様性があり、がん抑制に寄与する未知の働きがあると考えられています。
生理的な細胞分化やがんなどの病的状態では、それぞれの細胞のDNAの読み取られ方、すなわち遺伝子発現状態が大きく変化します。DNAが巻き付くヒストンには様々な化学的な「印」が付けられ(化学修飾)、この印に応じてDNAの読み取られやすさが変化しますが、ヒストンが細胞質から核内へ適切に運ばれ、分布し、細胞の状況に応じた化学修飾を受ける仕組みには不明点が多く残されています。
今回、研究グループはp53欠失に伴い、ある種のヒストンの細胞核内における分布と化学修飾が異常になることを発見し、その詳しい分子メカニズムを明らかにしました。
今回の研究で明らかにしたことは、がんで見られる遺伝子発現異常の原因の一つである可能性があり、さらに研究を進めることで新しいがん治療戦略の開発につながることが期待されます。
なお、本研究成果は、2024年6月21日(金)公開のLife Science Alliance誌に掲載されました。

正常乳腺上皮細胞株HMLEの核におけるメチル化ヒストンの分布を超解像顕微鏡で観察したもの。対照(Scr RNAi)に比べ、p53発現抑制(p53 RNAi)によりメチル化ヒストンの分布が核膜近傍に濃縮する。
スケールバー23は10 μm。
関連PDF
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(1,911.4KB )