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【ニュースリリース】トリプルネガティブ乳がん治療に新たな可能性を発見 〜乳がんのミトコンドリア阻害は相同組換えを抑制し PARP 阻害剤への感受性を高める〜
2024年11月13日
本研究のポイント
●通常、PARP阻害剤はBRCA1/2変異がんに対して使われますが、乳がんのBRCA1/2変異がんの割合は少なく、大多数のがんにPARP阻害薬を効くようにする方法の開発が望まれていました。
●発芽大豆由来の低分子化合物グリセオリン I がミトコンドリア阻害剤として乳がんの代謝を変え、BRCA1/2 を低下させ、傷ついたDNAを修復しにくい状態を作り上げることを見出しました。
● PARP 阻害剤とミトコンドリア阻害剤を組み合わせることで、BRCA1/2 変異を持たない細胞でもその増殖を抑えることを発見しました。正常細胞に対してはこの作用はありませんでした。
●トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン受容体が存在しないため、ホルモン療法や分子標的治療の対象にならず、効果的な治療法が確立されていません。ミトコンドリア阻害剤と PARP 阻害剤の併用は、特にトリプルネガティブ乳がんに効果的で、新しい治療法となる可能性があります。
概要
公益財団法人がん研究会 がん研究所がん生物部 斉藤典子部長、渡邉健司博士研究員、同じくがん化学療法センター 分子薬理部 旦慎吾部長、熊本大学 発生医学研究所 細胞医学分野 中尾光善教授および日野信次朗准教授、量子科学技術研究開発機構 櫻庭俊サブチームリーダー、河野秀俊副所長、PhytoMol-Tech Inc. 落合孝次代表らの共同研究グループは、乳がんにおいてミトコンドリアを標的とする低分子化合物が、がん特異的にBRCA1/2を失わせ、PARP阻害剤が効くようになることを初めて解明しました。
本研究の成果は、Science Signaling 誌に、2024年11月13日付で公開されます。
関連PDF
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