メッセージ
患者さんのためのがん研究機関として
研究本部長/がん研究所 所長
野田哲生
がん研究会の発足は1908 年まで遡ります。当時、世界的にがん研究への関心が高まり、がん研究の国際協力への呼びかけが日本にも届いた際、その受け皿として作られたのが「癌研究会(現在のがん研究会)」です。そして癌研究会は、1934 年、西巣鴨の地に日本で初めてのがん専門病院である康楽病院(現がん研有明病院)と癌研究所を建設しました。すなわち研究所と病院は、設立時から共にあります。
がん研究会は、創設当初から、「今日の患者さんに最高の医療を行うだけではなく、先を見据え、常に最新の医療を創り出して、明日の患者さんに届ける」ことを大切にしてきました。私達研究者の理念は、「研究の全ては研究者のためのものではなく、患者さんのためのものである」ということです。研究本部は、今、がんに苦しむ多くのがん患者さんを治癒させるため、そして、次世代のがん患者さんを生まないための研究を、日々行っています。
がんを知り、がんを制する
現在、がん研究会の研究本部は「がん研究所」「がん化学療法センター」「がんプレシジョン医療研究センター(CPM センター)」という、従来からの3つの組織に加えて、2020 年度に、次世代のがん研究のあるべき姿を先取りする研究組織である「NEXT-Ganken プログラム」を立ち上げました。これら4つの研究組織が病院と緊密に連携することで、患者さんに最適ながん医療を開発し、提供するための研究を展開しています。その中にあって、「がん研究所」では、一貫して、「がんを知る」こと、すなわち、がんの本態解明を目指した先進的な基礎研究を行っており、「がん化学療法センター」「がんプレシジョン医療研究センター(CPM センター)」そして「NEXT-Ganken プログラム」では、そうした基礎研究から得られる先進的な知見をもとに、革新的な先進的がん診断・治療法の開発を目指した応用研究を進めています。さらに、研究本部では、今後の高齢化時代におけるがん発生の増加を可能な限り抑制するために、がん研究所を中心に、がん発生のメカニズムをより深く知ることにより、新たながん予防法を開発する研究にも力を入れています。
このように、研究本部では、先進的技術を用いた解析を通じて、がんの理解を進めて、がんの克服につなげるための体系的がん研究を推進しています。