最終更新日 :
2020年8月5日
部の紹介
がん生物部長 斉藤 典子
真核生物のゲノムDNAは、何重にも折りたたまれクロマチンを形成して細胞核の3次元空間に収納されています。がんの発生及び進展は、ジェネティックな変異だけではなく、クロマチンおよび核構造により制御されるエピジェネティックな状態の変化も深く関わっています。近年、タンパク質をコードしないノンコーディングRNAやクロマチンの基本因子である多様なヒストンが、エピジェネティクス因子として機能を担うことが明らかとなり、がんを始めとする細胞病態を理解する上で注目されています。私達は、クロマチン・細胞核構造の作動原理を解明するとともに、がん制御への寄与を明らかにし、創薬研究や、新たな診断法の確立に貢献することを目的として研究を行っています。
研究内容
- 再発乳がんに関わるノンコーディングRNAエレノアの解析
- クロマチンドメイン・核内構造体の形成機序と機能の解明
- 機械学習を用いた画像解析による細胞と組織形態の分類と推定
- ヒストンタンパク質の動態によるクロマチン・がんの制御
オリジナルHP
より詳細な研究内容は、オリジナルホームページをご覧ください。
代表論文
- Nozawa, R., Yamamoto, T., Takahashi, M., Tachiwana, H., Maruyama, R., Hirota T., Saitoh, N.*
- Nuclear microenvironment in cancer: control through liquid-liquid phase separation. Cancer Sci, doi: 10.1111/cas.14551, 2020
- Abdalla, M.O.A., Yamamoto, T., Maehara, K., Ohkawa, Y., Miura, H., Hiratani, I., Nakayama, H., Nakao, M., and Saitoh, N.*
- The Eleanor ncRNAs activate the topological domain of the ESR1 locus to balance against apoptosis. Nat. Commun, 10(1), 3778, 2019
- Yamamoto, T.#, Sakamoto,C. #, Tachiwana, H., Kumabe, M., Matsui, T., Yamashita, T., Shinagawa, M., Ochiai, K., Saitoh, N.*, Nakao, M.*
- Endocrine therapy-resistant breast cancer model cells are inhibited by soybean glyceollin I through Eleanor non-coding RNA. Sci. Rep 8:15202, 2018
- Tomita, S., Abdalla, M. O. A., Fujiwara, S., Matsumori, H., Maehara, K., Ohkawa, Y., Iwase, H., Saitoh, N.*, Nakao, M.*
- A cluster of noncoding RNAs activates the ESR1 locus during breast cancer adaptation. Nat. Commun 6,6966, 2015
連絡先
斉藤 典子
〒135-8550 江東区有明3-8-31
公益財団法人がん研究会 がん研究所がん生物部
Tel:03-3570-0471
E-mail: noriko.saito@jfcr.or.jp