部門紹介

印刷

がんゲノム動態プロジェクト

最終更新日 : 2022年6月27日

部の紹介

がんゲノム動態プロジェクト 大學 保一
がんゲノム動態プロジェクト
プロジェクトリーダー 大學 保一

我々の体内では細胞分裂を繰り返し、体を構成・維持していますが、分裂のたびに遺伝情報を担うゲノムDNAの複製も繰り返し行われます。DNA複製の分子機構は効率的かつ正確に行われるように精巧な仕組みを備えていますが、ゲノムDNAのコピーは少なからずエラーを伴います。その結果、加齢とともに蓄積する変異が、がんをはじめとする様々な疾患の原因となります。私たちはDNA複製、及び、ゲノム情報維持の分子機構を解析し、突然変異生成メカニズムの解明を目指しています。

研究内容

生物は組織や個体を形成、および維持するため最少ユニットである細胞の分裂を繰り返します。その度に、ゲノム情報を担うDNAは限られた時間内に正確に複製される必要があります。しかし、DNAは巨大な分子であり、様々な構造をとり、その複製は平坦な道のりではありません。加えて、DNA複製は無限に同じクォリティで繰り返されるものではなく、細胞の老化と共にその機能不全のリスクが高まり、DNA複製機構の破綻による細胞死やゲノム情報の不安定化(突然変異や染色体異常)のリスクが高まります。このようなDNA複製を伴う遺伝情報の変化は生物集団に多様性を生む仕組みであり、生物進化の原動力ですが、ヒトを含む多細胞生物においては、組織および器官の機能不全の原因となり、がん細胞のような体内の恒常性から逸脱した細胞集団を生み出す原因にもなってしまいます。

細胞内には、DNA合成の効率・正確性が異なる多種多様なDNA合成を行う酵素(DNAポリメラーゼ)が存在し、それらのゲノム複製における役割の解明は遺伝情報の安定性を論ずる上で解明されるべき課題です。私たちは、様々な特徴をもつDNAポリメラーゼが協調し機能するメカニズムを検証し、DNA複製が潜在的に有するフレキシブルな仕組みを解明すべく、日々研究しています。そのために、DNA複製に必要な個々の生体分子の解析はもとより、情報科学的な方法を駆使し、全ゲノム領域を対象として包括的なDNA複製プロファイルを得る実験技術を適用し研究を進めています。また、がん進化のプロセスにおいて、DNA複製の機能がどのように変化しているかを明らかにし、新たな治療・予防の基盤の形成を目指します。

オリジナルHP

より詳細な研究内容は、オリジナルホームページをご覧ください。

代表論文

Y. Nakazawa, Y. Hara, Y. Oka, O.Komine, D. Heuvel, C.Guo, Y. Daigaku, M. Isono, Y. He, M. Shimada, K. Kato, N. Jia, S. Hashimoto, Y. Kotani, Y. Miyoshi, M. Tanaka, A. Sobue, No. Mitsutake, T. Suganami, A. Masuda, K. Ohno, S. Nakada, T. Mashimo, K. Yamanaka, M.S. Luijsterburg, Tomoo Ogi,
Ubiquitination of DNA Damage-Stalled RNAPII Promotes Transcription-Coupled Repair. Cell, 1228-1244, 180, 2020
Z. Shao, S. Niwa, A. Higashitani, Y. Daigaku,
Vital roles of PCNA K165 modification during C. elegans gametogenesis and embryogenesis. DNA Repair, 82, 102688, 2019
N. García-Rodríguez, M. Morawska, R. P. Wong, Y. Daigaku, H. D. Ulrich,
Spatial separation between replisome- and template- induced replication stress signalling, EMBO J. 3, e98369, 2018
Y. Daigaku, T.J. Etheridge, Y. Nakazawa, M. Nakayama, A.T. Watson, I. Miyabe, T. Ogi, M.A. Osborne, A.M. Carr.
PCNA ubiquitylation ensures timely completion of unperturbed DNA replication in fission yeast. PLoS Genet 13(5): e1006789, 2017
Y. Daigaku, A. Keszthelyi, C. A. Müller I. Miyabe, T. Brooks, R. Retkute, M. Hubank, C. A. Nieduszyski, A. M. Carr,
A global profile of replicative polymerase usage, Nat. Struct. Mol. Biol. 22, 192-8, 2015
Y. Daigaku, A. A. Davies and H. D. Ulrich,
Ubiquitin-dependent DNA damage bypass is separable from genome replication. Nature. 465, 951-955, 2010
Davies, D. Huttner, Y. Daigaku, S. Chen and H. D. Ulrich,
Activation of ubiquitin-dependent DNA damage bypass is mediated by replication protein A. Mol Cell. 29, 625-636, 2008

連絡先

大學 保一(プロジェクトリーダー)
〒135-0063 東京都江東区有明3-7-18
有明セントラルタワー6階
公益財団法人 がん研究会 サテライトラボ
Tel: 03-6426-0435
Email: yasukazu.daigaku@jfcr.or,jp

このページのTOPへ