部門紹介

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研究者紹介

広田亨

所属

広田亨

がん研究所, がん研究所長室 研究所長
がん研究所, 実験病理部 部長

連絡先

〒135-8550 江東区有明3-8-31 公益財団法人がん研究会がん研究所実験病理部
Tel:03-3570-0446
Fax:03-3570-0354
Mail:thirota@jfcr.or.jp

経歴

平成17年10月〜現在 財団法人癌研究会癌研究所・実験病理部・部長
平成15年6月〜平成17年9月 分子病理研究所(ウイーン)・ポスドク研究員
平成12年10月〜平成15年5月 熊本大学大院医学研究科・ポスドク研究員
平成12年9月 新潟大学大学院医学研究科専門課程・修了
平成9年4月〜平成12年9月 熊本大学大学院医学研究科・特別研究生
平成7年4月〜平成8年3月 社会福祉法人信楽園病院・外科医員
平成6年4月〜平成7年3月 新潟大学医学部附属病院・外科研修医
平成6年3月   新潟大学医学部医学科・卒業

研究分野

・細胞周期
・細胞分裂
・染色体動態

所属学会・研究会

・日本癌学会(評議員)
・日本分生生物学会

受賞

平成13〜15年度  日本学術振興会・特別研究員(PD)
平成16〜17年度  日本学術振興会・海外特別研究員
平成18年 日本癌学会奨励賞
平成18年 第10回有壬記念学術奨励賞

研究テーマ

分裂期キナーゼに関する研究
ショウジョウバエ癌抑制遺伝子wartsのヒトのホモログ同定し、分裂期キナーゼとしてwartsは分裂期進行に関わることを示した(Hirota et al., 2000)。次いで、Aurora Aの機能がM期の進入と染色体の整列に必須であることを見出した。Aurora Aの結合分子として、AjubaおよびCENP-Aの2分子を同定し、AjubaはAurora-Aの活性化因子の一つで、分裂期の開始時の酵素の活性化に必要であること(Hirota et al., 2003)、CENP-AはAurora AおよびBから連続的にリン酸化を受け、そのリン酸化が動原体の機能に重要であること(Kunitoku et al., 2003)を見出した。また、癌遺伝子でもあるAurora Aの病理的意義を検討するために、Cre-loxP系によって組織時期特異的にAurora Aを過剰発現するトランスジェニック・マウスを作成し、悪性腫瘍発生との関連を調べた(Zhang et al., 2004)。さらにその背景にはAurora Aの過剰発現によってCdk1およびCyclin Bの過剰翻訳が関与する可能性があることを示した(Sasayama et al., 2005)。Poloキナーゼ(Plk1)については、姉妹染色分体の接合解除(Gimenez-Abian et al., 2004)および紡錘体の形成(Sumara et al., 2004)の各過程における役割を明らかにした。Aurora Bについては、その基質として知られるヒストンH3のリン酸化の意義を問い、このリン酸化がHP1αの解離を促進することを見出した(Hirota et al., 2005)。続く研究で、HP1α自身がAurora Bにリン酸化を受けて、Aurora Bと複合体となってセントロメアの構築に関与することを見出している。


染色体の形成と動態制御に関する研究
染色体凝縮に中心的な役割を担うコンデンシンには2種類のコンデンシン複合体—IとIIが存在することを見出し(Yeong et al., 2003)、それぞれ特異の細胞内の局在、動態をとること、染色体の構築において全く異なった機能を有していることを報告した(Hirota et al., 2004; Gerlich et al., 2006)。次いで、コンデンシンIはAurora Bにより(Lipp et al., 2007)、コンデンシンIIはPlk1よってその動態が制御されることを明らかにした(Abe et al., submitted)。また、姉妹染色分体の形成を促すコヒーシン複合体についての研究も進め、その段階的な除去機構を説明するシュゴシンの機能を調べた(McGuinness et al., 2005)。次いで、腕部コヒーシンの解離にセパレースが必要であることを見つけたことから、紡錘体チェックポイント活性化時でもSeparaseが活性化することを見出した(Nakajima et al., 2007)。その後、動原体に作用する力を可視化したことによって「動原体ストレッチング」と命名した現象を発見し、新たな紡錘体チェックポイント不活性化機構を提唱した(Uchida et al., 2009)。

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