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研究内容

目次

  1. DNA損傷修復機能と乳腺発がん
  2. BRCA蛋白の新規機能と乳腺発がん

BRCA蛋白の新規機能と乳腺発がん

BRCA1、BRCA2はゲノムの安定性維持に関与し、その機能不全は遺伝子不安定性を生じ最終的に乳腺細胞のがん化を引き起こします。そこでBRCA2に焦点をあてBRCA2およびその結合蛋白の情報伝達の流れからBRCA2の新規作用機序を同定し、その解析を行っています。

BRCA2の中心体制御への関与

私たちは核内蛋白とされてきたBRCA2の一部が中心体に局在することを見出しました。また、BRCA2には核外移行シグナル(NES)および中心体移行シグナル(CLS)が存在し、それらがBRCA2の中心体移行に極めて重要な役割を果たしていることを明らかにしました。これらシグナルに変異を導入しBRCA2の中心体への移行を阻害すると、中心体の複製、移動に異常が生じ、核分裂異常、多核細胞の発生を認めました。このような中心体におけるBRCA2の新しい作用機序を分子レベルで理解することにより、乳腺発がんメカニズムの解明が大きく進む可能性が考えられます。

BRCA2の細胞質分裂への関与

  • BRCA2の中心体への局在
    BRCA2の中心体への局在

BRCA2は分裂期キナーゼのpolo-like kinase 1 (Plk1)によってリン酸化を受けることが報告されていますが、リン酸化されたBRCA2の機能については不明でした。そこでPlk1によるBRCA2のリン酸化部位に対するポリクローナル抗体を作製しリン酸化BRCA2を解析した結果、細胞質分裂の中間体(mid-body)およびFleming bodyに特異的にリン酸化BRCA2が局在することを見出しました。この局在は、Plk1の局在とも一致し、Plk1によってリン酸化されたBRCA2が細胞質分裂に関わっている可能性を初めて明らかにしました。これらの結果から、BRCA2は中心体の制御から細胞質分裂制御まで関与している可能性が強く、その解明が重要と考えています。

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