がん研セミナー(8月22日)のお知らせ
2024年07月05日
演題:ラジオセラノスティクスに適した標的化素子と動態制御技術
Targeting parts and pharmacokinetic control technologies for radiotheranostics
演者:向井 英史 博士
(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科(薬学系) 准教授
理化学研究所 仁科加速器科学研究センター 客員主管研究員)
抄録:
殺細胞作用が極めて高いα線放出核種の医療応用が可能になり、がん治療のための放射線内用療法薬剤の革新が進んでいる。特に、化学修飾しやすい核種としてAt-211やAc-225の利用に焦点が当たっており、抗体・ペプチド・低分子化合物などを腫瘍標的化素子として用いる薬剤設計が一般的である。戦略としては抗体―薬物複合体(ADC)と通ずるものであるが、α線の飛程の短さや必ずしも単純ではない作用機序から、標的化素子として求められる性質には通常のADCの場合と違いがある。また、物理学的半減期に従って体内で常にα線を放出し続けるため、体内での長期滞留や非特異的集積が深刻な副作用を引き起こす懸念があり、これを解決する動態制御技術が求められる。加えて、α線放出核種をポジトロン放出核種に置き換えると、がんのコンパニオン/プレシジョンPET画像診断薬となる。本セミナーでは、放射性核種を軸に診断と治療を繋ぐラジオセラノスティクスについて、標的化素子と動態制御技術の観点から議論する。我々がAMED次世代がん医療加速化研究事業などにおいて実施してきた、mRNA医薬や細胞製剤など新しい医薬品モダリティのPETを用いた体内動態解析についても併せて紹介する。
日 時:2024年 8月 22日(木) 16:00〜17:00
場 所:吉田記念講堂