【ニュースリリース】TOPPANホールディングス・大阪大学・がん研究会 がん微小環境を体外で再現する3D細胞培養技術に関する論文が 国際科学誌「Acta Biomaterialia」に掲載
2024年11月15日
■ 本論文の特徴
@がんの微小環境を再現
がんの微小環境では、がん細胞だけでなくがんの周辺に存在する間質細胞も重要な役割を果
たしていることが知られていますが、このような細胞を含むがん微小環境を簡便に生体外で作製する技術がありませんでした。今回、間質細胞を含む3D組織を作製できる「invivoid®」の独自手法を開発しました。また「invivoid®」により、微小血管の作製に成功し、その血管新生機序の一端を解明しました。これにより、血管の中にがん細胞が浸潤していく特徴的な様子(転移現象)を捉えることができました。
A高い再現性
「invivoid®」により作製したがん細胞と、既存の培養方法(2D)で作製したがん細胞を、同じ薬剤で 3 施行 4 種類薬効評価をした結果、既存の培養方法での薬効評価同様、高い再現性を示すことを確認しました。
B高い臨床外挿性
近年注目されている3D培養技術での薬効評価と臨床結果を比較する研究は世界中で報告されていますが、臨床的相関の有無について一致した見解が得られていません。今回、患者由来のがん細胞を用いて「invivoid®」により体外に作製した「がん組織」に薬剤を投与して評価した結果と、実際の患者さんに対し投与された抗がん剤の臨床結果を比較し、その結果約75%という一致率を示しました。さらに、がん組織の生検組織をそのまま「invivoid®」で培養する初代培養可能性が確認できたことにより、現在進行中の臨床研究につながるがん個別化医療における応用可能性が示唆されました。

■ 本論文の概要
TOPPAN ホールディングス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長CEO:麿 秀晴、以下、TOPPAN ホールディングス)、大阪大学大学院工学研究科(以下、大阪大学)、公益財団法人がん研究会(所在地:東京都江東区、理事長:浅野 敏雄、以下 がん研究会)の3者は、3D細胞培養技術「invivoid®」を用いた、抗がん剤評価技術の共同研究を進めてきました。
このたび、がん患者の腫瘍組織のがん細胞から、「invivoid®」により体外に患者のがん組織を再現し、その再現されたがん組織を用いた抗がん剤評価の結果が、ヒト臨床結果と高い確度で一致することを示す論文が、バイオマテリアルに関する分野を扱う国際学術誌「Acta Biomaterialia」に掲載されました。
今後、本研究成果をがん個別化医療に適用させ、2025年度に国内において「invivoid®」による、先進医療、また米国において2026年に「invivoid®」による臨床検査事業への参入を目指します。
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