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【ニュースリリース】骨肉腫の治療標的候補分子を発見 〜約半数に共通する染色体異常としてMCL1遺伝子のコピー数増幅を確認〜

2024年12月19日

【本研究のポイント】

● 骨肉腫は、患者に共通するアクショナブルなドライバーがん遺伝子変異が同定されておらず、薬剤開発が遅れています。研究グループは、骨肉腫において抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質MCL1のゲノムDNAが高頻度に増幅しており、このような特徴を持つ骨肉腫に対してMcl-1阻害剤に基づく治療法が有効である可能性を明らかにしました。

● 当会にて治療を受けた骨肉腫患者検体を対象にDNA FISH解析した結果、約半数に相当する46.3%(19/41症例)においてMCL1のコピー数増幅が認められることを発見しました。この頻度は、小児の骨肉腫患者に限定された国際データベースで解析した場合には、70.4% (57/81症例)となりました。

● MCL1遺伝子が位置する染色体1q21.2-3領域近傍には、IGF-1R/PI3K経路の下流因子が複数存在しており、MCL1のコピー数増幅が認められた骨肉腫ではこれらの因子も共に増幅していました(1q21.2-3amp)。そこで、Mcl-1阻害剤とIGF-1R阻害剤の併用療法を検討したところ、当該併用療法は1q21.2-3ampを伴う骨肉腫モデルマウスに対して有意な抗腫瘍効果を示しました。



【概要】
がん研究会の片山量平(がん化学療法センター基礎研究部 部長)、高木聡(同研究部 研究員)、阿江啓介(がん研有明病院整形外科 部長)、齊藤正徳(同科 副医長)らのグループは、少なくとも約半数の骨肉腫患者に対する新規治療アプローチとしてMcl-1阻害剤に基づく治療法が有効である可能性を実験的に確認し、MCL1のコピー数増幅が当該治療法の効果予測バイオマーカーとなる可能性を示しました。
本研究成果は、2024年12月11日に国際学術誌「Oncogene」に掲載されました。
ウェブサイト:https://www.nature.com/articles/s41388-024-03251-6
DOI: 10.1038/s41388-024-03251-6

■がん研究会について
がん研究会は1908年に日本初のがん専門機関として発足して以来、100年以上にわたり日本のがん研究・がん医療において主導的な役割を果たしてきました。基礎的ながん研究を推進する「がん研究所」や、新薬開発やがんゲノム医療研究を推進する「がん化学療法センター」「がんプレシジョン医療研究センター」、さらに新しい医療の創造をする「がん研有明病院」を擁し、一体となってがんの克服を目指しています。
ウェブサイト: https://www.jfcr.or.jp/

 

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