演題：がん早期診断に資するリキッドバイオマーカーへの期待と課題

演者：本田　一文　博士

(日本医科大学大学院医学研究科　生体機能制御学分野　教授)

抄録：

　腫瘍から漏出する体液中を循環するタンパク質、糖鎖、核酸、代謝物を分析しそのプロファイルから複数種類のがんを検出multi-cancer early detection (MCED)が注目を集めている。米国では多種類のMCED技術が臨床現場に導入され実際に早期診断に利用され始めているが、「MCEDが多種類のがんを早期に検出でき、がん検診の有効性を評価できるかどうか？」について、その結論には至っていない。米国には、がん早期診断技術を加速化し臨床開発を支援するEarly Detection Research Network (EDRN）やMCED技術の有効性を評価するCancer Screening Research Network (CSRN)が、米国国立がん研究所（NCI）に設置され、リキッドバイオプシーに対する臨床評価研究が進んでいる。

日本国内からは、がん発見やリスク層別化に資する血液バイオマーカーとしてペプシノーゲン（胃がん）、M2BPGi（肝がん）、apoA2-isoforms （膵がん）などが、従来型のリキッドバイオプシーの概念とは異なるがん発生母地の臓器微小環境評価指標として臨床開発がなされてきている。

本セミナーでは、米国の強み・日本の強みを交えながら、自験例である「膵がん診断を補助する血液バイオマーカーapoA2-isoforms」体外診断用医薬品承認を含めて、議論したいと考える。

日　時：２０２５年３月１３日（木） １６：００〜１７：００

場　所：吉田記念講堂