がん研セミナー(2月26日)のお知らせ
2026年10月20日
演題:臨床的洞察に基づくがん転移研究と治療戦略への展開
演者:川崎 健太 博士
(慶應義塾大学 医学部腫瘍センター 助教)
抄録:
「転移」は、がん患者の予後を規定する重要な因子の一つである。近年、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場により、がん薬物療法は飛躍的な進歩を遂げてきた。一方で、こうした治療の恩恵を十分に受けられず、急速な転移進展によって予後不良となるがんも依然として存在する。なかでも神経内分泌癌(Neuroendocrine Carcinoma: NEC)は、全身のさまざまな臓器に発生し、極めて高い転移能を示す悪性腫瘍である。しかし、その生物学的特性を規定する分子機構は十分に解明されておらず、臨床検体や実験モデルの不足が研究の障壁となってきた。なぜNECはこれほど高い転移能を示すのか?
がん転移は、原発臓器や転移先臓器、進展速度などによって多様な臨床像を呈し、その全体像を分子解析のみから理解することは難しい。一方、臨床観察だけでは、その背景にある分子機構の因果関係を明らかにすることはできない。我々は、臨床で捉えられる転移の多様性と、基礎研究による機能的検証を結びつけることが、転移の本質を理解するうえで重要と考えている。
本講演では、患者由来疾患モデルの構築や転移関連因子の機能解析など、これまでの具体的な研究アプローチならびに研究成果を紹介するとともに、臨床的洞察と基礎生物学を融合したがん転移研究の可能性を考察し、新たな治療戦略へとつなげる今後の展望について紹介する。
日 時:2027年 2月 26日(金) 18:00〜19:00
場 所:吉田記念講堂









